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退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/26 (Sun) 22:07:30
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/27 (Mon) 22:25:29
ハクエン「おい小葉、寝ておらんで出てこい」
小葉「……お前の指図は受けぬぞ、白淵狐羅風坐!」
ハクエン「意地を張っている場合か。お主も感じるじゃろう、この神気を!」
小葉「感じるなんてものではない。下手をすればこの街がそのまま吹き飛ぶだろうな」
ハクエン「だったら尚更じゃ、さっさとお主も手助けへ―――」
小葉「…なぜお前が人間を助ける真似なぞしている…? 忘れたとは言わせんぞ。確か天草四郎殿をそそのかした件―――」
ハクエン「何を今更そんな昔のことを」
小葉「あれでどれだけの●人が出た? あれでどれだけの百姓が―――」
ハクエン「それと今の戦いに何の関係があるんじゃ!!」
小葉「お前が信用ならんのだ!! 我が子孫どもをそそのかしている可能性がぬぐい切れぬ以上、お前を信頼することなどできん!! 気安くこちらに話しかけにくるでない!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/27 (Mon) 22:46:27
ハクエン「それでも間違いなく主と小向は戦いに行っておるだろうな」
小葉「……」
ハクエン「命の危機かもしれん。かつて天草一揆を鎮めようと陰で努力しておった、笠原家屈指の名士も●んでしもうたらただの霊と変わらんのかの」
小葉「……私はお前の手助けなど借りぬ。かつて笠原家の家主であった『笠原吉瀬長小葉』として、だれかを助けるために私は動く―――」
ハクエン「良い答えじゃ。では我が連れて行ってやろう」
小葉「―――ちなみに私は霊ではなく氏神だ。次間違えたらお前から消してやるからな」
ハクエン「生きていた頃すらできなかったのに、今できるとは思えんがの(笑)」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/29 (Wed) 21:42:50
ザヨウガン「はぁ……はぁ……」
清原「くっくっく……。勢い良く飛び出してきたわりには、大したことないな……」
ザヨウガン「何をぉ……!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/29 (Wed) 22:03:00
小道「これが……神の戦いか…」
小向「私も一度国津神の戦いを見たけれど、やっぱり異次元ね」
小道「私たちにはどうすることもできないっていうのか……」
巫女「諦めることだ。そもそも吉瀬が清原真人様の司る土地なのだ。郡司の守るべき土地ではない」
――――――
ハクエン「それはどうかのう?」
巫女「次から次へと……今度はなんだ?」
小葉「――清原真人、そして吉瀬郡司。二柱が争うことに何の益があるのか?」
巫女「この土地は清原真人様のもの。他のものが司っておることが許されないのだ!」
小葉「……ふむ。時は違えども互いに同じ場所を守り合った神々。手を取り合うことはできぬか?」
巫女「取り合う必要はない。清原真人様と吉瀬郡司では神格が違う」
小葉「それでは言わせてもらうが、我は吉瀬長。我の時代に清原氏はどこで何をしておった? 祖神を持つ一族でありながら、我は清原氏に遣えた覚えはないぞ」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/30 (Thu) 21:54:51
巫女「……そもそも我らが清原氏は、かつての朝廷での権力抗争へも参加した。その後この地で郡司を廃し、この地の主となった。今では私たち家族が名乗るのみだが、そもそもは真人を授かるほどの高貴な身分だ。お前は見たところ侍のようだが、見たところ下級の侍にしか見えん。自らの主君すらも分からないような下級氏族の話など聞く価値も―――」
小葉「先程きちんと名乗らなかったな。我は平朝臣笠原吉瀬長。こういえば我がどういう立場の者か、察することはできよう?」
巫女「ば……ばかな……。平朝臣……? そんなものがこの地を守護していたなど……」
小葉「そうだな…。我らは退魔師。一族総出で全国を流浪する氏であった。我らはたまたま吉瀬長としてこの地を守っておったが、かつては鎌倉や室町、安土や江戸を守っておったこともあった。そして我らは女。歴史の表舞台に名が載ることも稀であった」
巫女「……くっ……!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/30 (Thu) 23:00:51
ザヨウガン「へへっ…。どうやら、流れがこっちへ来てるみたいだな……」
清原「…平朝臣か。なるほど。そちらの吉瀬郡司よりは話が分かる者のようだ」
清原「お主の意見も聞いてやろう。この地は我のものか、それとも―――」
小葉「論ずるに値せず。この地は代々笠原家が必死になり妖や怪異から守ってきた土地である。神に頼らず、己の退魔の力を使ってな。そのとき神であるはずの其方は何をしておったのか」
清原「……」
小葉「お主が祀られておる神社に行けば、お主の出自も分かるというもの」
小向「……そんなことをしなくてもわかるわ」
清原「…!?」
小向「吉瀬清原神社に祀られる神の真名は『杜清姫命』よ」
小葉「ご苦労だな。なるほど、真名が分かれば話は早い」
清原「や、やめろ…!」
小葉「昔は神にも畏敬を払ってきた。特に悪い神に関してはな。今回も同じようにしてやろう。だが本当に悪い神ではない。少し大人しくしてもらい、少しずつ信仰を高めてもらえるようにすればよい」
小向「手伝うわ」
小道「わ、私も手伝おう」
小弥「あ、姉上…!私も手伝います!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/02 (Sat) 21:33:17
小道「ふぅ……。とりあえずこの勾玉に封印できたということでいいのか?」
小向「とりあえずこの勾玉をきちんと吉瀬清原神社の神主にあずかってもらいましょう」
巫女「それは無駄だ。あの神社に神主はいない」
小向「もしかして貴女が神主をやってるの?」
巫女「あぁそうだ。私は吉瀬清原神社の神主であり、巫女でもある、清原子春(きよはらこはる)という。……今回の件は私の負けだ。清原氏はそもそも大和朝廷の権力争いに敗れ、この地まで逃げ延びてきたのだ。確かにこの地にいた郡司や国造を牛耳っていたのだろうが、今となってはただの神職の一家でしかない。再興を願うとまではいかなくても、この吉瀬郡司の社のように、再建できるくらいにはならないかと思っていたのだが……」
小道「……だったら、合祀するのはいかんのか?」
巫女「合祀だと……?」
小道「あぁ。そもそも時代が違うとはいえ同じ吉瀬を司った二柱の神であることには変わりない。そして吉瀬郡司の神社には巫女も神主もいない、ついこの前まで地図にすら載っていなかったくらいだ。もしも清原神社の巫女がこちらも守ってくれるというのであれば、これ以上に心強いことはないと思うのだが?」
小向「確かにそうかもね」
巫女「……考えておく」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/04 (Mon) 21:53:52
~数日後~
小道「何してるんですか? 母上?」
小向「吉瀬地方の歴史の調査と研究よ。うん特に問題ないわね」
小道「何がですか?」
小向「何がって、貴女が言ってた杜清姫命と弥宮大明神の合祀の件よ。しっかりと調べて、合祀が問題ないかを検証してるのよ」
小道「あぁ…確かに合祀したらいいって言いましたけど、それって結構難しいことだったんですか?」
小向「神様によってはね。でも今回は大丈夫そう。よし、報羅大学客員教授として神社本庁にかけあってくるわ」
小道「なるほど。母上の大学教授としての地位を活かすわけですね」
笠原小向は報羅大学の客員教授である。普段はアメリカなどにフィールドワークをしにいっているため、講義を持たず、ゼミも持っていないが、たまにこのように報羅大学教授として仕事をしていることがある。マルノーバの野球場も名義上では「笠原小向教授の研究所」である。
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/05 (Tue) 22:19:02
巫女「……最近よく会うな、笠原小道」
小道「あ…あぁ……そうだな。で、何をしてる……?」
巫女「見れば分かるだろう? 退魔だ」
小道「……! お前もそんなことが…?」
巫女「お前もとは……。私は巫女だぞ? 神に遣える身。この程度できて当然だ」
小道「…そ、そうなのか……?」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/05 (Tue) 22:38:41
巫女「なんだ? 退魔をできるのがそんなに驚きか?」
小道「まぁそうだな…。母上以外で退魔をしている者を見たことがなかったからな……」
巫女「…お前は笠原家の生まれだから『自分は特別だ』と思ってるのかもしれないが、退魔を行えるものはこの世界にいくらでもいるんだぞ」
小道「べ、別に特別だと思っているわけでは……」
巫女「だから精々、笠原家も我々清原氏のようにならんように鍛錬に励むことだな」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/06 (Wed) 21:49:06
小道(そうか…。私は笠原家の娘だからって、当たり前のように退魔師をしてきたが、あの巫女のように私以外にも同じように退魔をしている人間がこの世にはいるのか……)
小道(……私は『笠原家の退魔師』として、何か他の人のためになれる何かをしてきたのか?)
ハクエン(さては主…何か面倒くさいことを考えておるな……)
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/08 (Fri) 23:46:45
小孝「っは~…!! やっと終わった……」
小道「小孝、何やってたんだ?」
小孝「野球ボールにサインを書いてたんだよ。段ボール丸々3個分!」
小道「そ、そんなに書いたのか!? 腱鞘炎にならないか?」
小孝「なりそうだったよ。だから数日かけてちゃんと書き上げたんだよ」
小道「……プロ野球選手の仕事といっても、野球だけじゃないんだな」
小孝「そりゃ、お客さんあってのプロ野球だからね。だから私にできることって言ったら、サインをがんばって書いてあげることくらいだよ」
小道「…お前も、他の人のために自分のできることを全力で頑張ってるんだな……」
小孝「そだね……。もうしばらくサインは書きたくない……。ペンを持つのすらいやだ……」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/09 (Sat) 23:14:16
小弥「さっきからずっと、何を悩んでいる?」
小道「いや…。私は笠原家に生まれたから退魔師をやってるわけだが、世の中には笠原家でなくても退魔をがんばってしている人たちがいるわけだ…」
小弥「そうだな。私の時代にも行脚僧とかいたからな」
小道「私は笠原家として生を受けて、今は退魔師としてできる限り人のために尽くしてきたつもりだったが…。私のしてきたことってどれくらい世のためになったのかな…と考えてしまってな」
小弥「……情けは人の為ならずとは言う言葉がある。優しい気持ちは他人のためだけじゃない、自分に返ってくるんだから誰にだって優しくあれっていうことわざだ」
小道「なんだ急に。それくらい知っているぞ」
小弥「…だとすれば、笠原家にこだわる必要もあるまい?」
小道「…どういう意味だ?」
小弥「…お前はお前だ。大層に笠原の名を背負っておるが、別に笠原という名は退魔のための名前じゃない。たまたま日本で退魔師になる一族が笠原だったというだけの話。お前は『小道』として、お前の力を他人のために使えばよいのじゃないか?」
小道「小道として……?」
小弥「そう。笠原だから、退魔師だから、頑張るんじゃない。小道だから頑張る。同じのようで全然違う。そう思えば、世の中のためになったか、なんてことよりも大事なことができてくるんじゃないか?」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/10 (Sun) 13:20:19
小向「―――ってことだから、これからは弥宮神社も吉瀬清原神社の別社って扱いになるから。これからもよろしくね」
巫女「はぁ…。なんだか仕事が増えてしまった気もする」
小向「でもおかげで、吉瀬にまつわる歴史の研究にもつながったし、何より清原氏の功績も少しは世に広まりそうじゃない? これからは弥宮大明神を守らないといけなくなったしね」
巫女「そうだな。あの娘に言っておいてくれ。弥宮様は我々で必ずお守りするってな」
小向「了解」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/11 (Mon) 21:30:35
小道「14歳の姿をしてるやつに諭されるなんて、私もまだまだ修行不足だな……!」
ハクエン(なんだか復活したみたいじゃの)
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/13 (Wed) 22:54:33
小向「ねぇ小孝? プロ野球選手って年が明けたら『自主トレ』っていうのするんでしょ?」
小孝「まぁ…するね。一応吉瀬替高校に頼もうかなって思ってるけど…」
小向「もしアメリカの私の研究所に野球場があるって言ったら、そこでやってみる気はある?」
小孝「は!? なんでお母さんが野球場持ってるの!?」
小向「せっかくだし、現代のプロ野球選手の動きって彼らに通じるのか見てみたいのよね」
小孝(お母さん何の研究してるんだ…?)
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/14 (Thu) 21:40:02
笠原家の父。彼の名は笠原浩一(こういち)。
剣道場の師範であり、なおかつ道場主でもある。
しかし家に帰るとしがないどこにでもいるごく普通の父親である。
浩一「あぁ、小孝。そっかオフで帰ってきたのか」
小孝「そうだよ~。お父さんは今日も道場?」
浩一「そうそう。汗臭いだろ? シャワー浴びてくるから」
小孝「気にしすぎだよ(笑)」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/17 (Sun) 15:59:11
郡司(初めて来てくれた巫女がまさか清原真人のところの娘だとは……。来てくれただけでも感謝せにゃなるまいが……どうしたものか……)
巫女(だいぶ弥宮様はソワソワしておられるな……。もっと神らしく堂々となさればよいと思うが……。一度戦ってしまった仲、そう簡単に打ち解けられるわけもあるまい…。私は警戒されているのかもしれん……)
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/17 (Sun) 21:19:19
小道「よっ、清原さん。どうだ?調子は?」
巫女「どうって。見てのとおりよ。別に普通だ。そっちこそなんだ、何か用事か?」
小道「新しい神社の世話まで頼むことになってしまったからな…。私としても少し責任がある気がしてな」
巫女「……それは気にしなくてもいい。私は巫女であり、神に遣える身。遣える神様が増えたと思えばなんてことはない」
小道「あぁそうか」
巫女「……ただ。まだ少し弥宮様とは距離があるような気がするな」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/18 (Mon) 21:50:11
巫女「なんだこの服装は……」
ハクエン「なんじゃお主も着飾ればそれなりの乙女になるじゃないか」
巫女「お前もなんだその恰好は。小学生かと思ったぞ」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/20 (Wed) 17:09:56
小道「悪いな、わざわざ人間の姿になってきてもらって」
郡司「…たまには人間の様子を見ておくことも大事だからな」
小道「じゃあ行くか。そろそろクリスマスだから街も色々とにぎわってるぞ」
郡司「それはいいのだが、お前のそれは私服なのか……?」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/20 (Wed) 17:24:30
~少し街を歩く~
郡司「……! あれ…? お前は……」
子春「……弥宮様……?」
郡司「な……め、珍しいな…、巫女以外の格好をしておるとは……」
子春「……今日は白淵に連れていかれて『もっと清潔感のある巫女になれ』と言われ…」
郡司「白淵だと……? 私も笠原に連れてこられて……」
子春「……なるほど。そういう魂胆でしたか……」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/20 (Wed) 18:05:51
子春「しょうもない。帰りましょう。こんな茶番に付き合ってる暇は―――」
郡司「ま、待て……!! 待つのじゃ!!」
子春「?」
郡司「確実にバカにされる……!! 何もせず神社に帰ってしまっては確実に白淵にバカにされてしまう!」
子春「そんなもの無視すればいいじゃないですか。妖の戯言など……」
郡司「いーや、あいつのからかいには私は耐えられん……! とにかくどこかへ行くぞ!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/22 (Fri) 21:50:59
―――街をしばらく探索し―――
子春「……喫茶店ですか。神様なのに随分と庶民的ですね」
郡司「私は元々人間だった氏神だからな。正直お前が元々遣えていた清原真人とは生い立ちが違う……」
子春「そうですか…。だからでしょうか。あまり私たちと変わらない価値観を持っているような気がします。少し親近感を覚えるというか…」
郡司「そうか?」
子春「えぇ。やはり神は神として独特の価値観を持っているとばかり思っていましたから。一度貴女には仇した関係にありますし、面目を潰されてやはり気を悪くされたのではないかと……」
郡司「お前結構ズバズバ言うタイプなんだな……」
子春「親近感を覚えたからです」
郡司「……それならいいか」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/24 (Sun) 22:18:11
―――食事を終えて―――
郡司「うーむ……。これで一応出かけたということでよかったのか?」
子春「我々が仲良くすることが、笠原たちの狙いでしょうし。それなら私はかなり貴女に親近感を覚えたので良いのでは?」
郡司「確かにそうだが……」
子春「もしも何か証拠が必要なのでしたら……そうですね……。おそろいのものでも買いますか?」
郡司「おぬしは本当に思ったよりもグイグイ来るのう……」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/25 (Mon) 21:41:08
――次の日――
笠原「やあ清原さん、調子はどうだ?」
巫女「……昨日の件について説明をしてもらおうか」
笠原「いやすまん。実はハクエンと母上の提案でな…。私も正直こういうのには疎くて――」
巫女「妖の言葉にまんまと乗っかりおったのか」
笠原「いやーそういうことになるのかな。すまんすまん。で、どうだったんだ?」
巫女「――仲良くできないわけではなさそうだ。だがこれで貸しを作ったなどと思うなよ」
笠原「そんなこと思ってもいなかったぞ」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/29 (Fri) 21:38:29
ハクエン「お主等の仲間は元々は森の中に住んでおったのか?」
ベラ「そうですね。森の中や山岳など人間があまりいないところで生活している者がほとんどです」
ハクエン「ほほぉ。なんだか天狗みたいじゃな」
ベラ「日本にも似たような方々がいるんですね!」
ハクエン「剣をもって戦うものは中々おらんかったがな。どちらかというとその身一つでなぎ倒していくような感じじゃ」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/30 (Sat) 22:12:38
小孝「今年は珍しくお母さんもうちにいるの?」
小向「そうね。今年はせっかくだし、家族で過ごしましょ」
小孝「やったー!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2023/12/31 (Sun) 17:01:08
小孝「家族4人で食事するのとか久々じゃない?」
小道「そうだな。父上も母上も一緒にテーブルを囲んで食事をするのなんてな」
浩一(こんなに大きく育ったがまだ可愛らしいところもあるじゃないか)
小向(ごめんねえええええええええ(´;ω;`))
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/04 (Thu) 23:00:05
弥宮「……正月ってこんなに静かに迎えるものだったか?」←笠原家以外の参拝者来ず
子春「私もここまで人が来ないとは思いませんでした……」
子春「とりあえず、それ、神様が背負っていい影じゃないので、一旦引っ込めてください」
弥宮「しばらく立ち直れそうにない……」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/05 (Fri) 23:02:52
小道「これが先輩のお父様が海外の取引先からいただいたという銅像ですか?」
伍代「えぇ。ご厚意にしていただいているお取引先の方でしたから断ることもできなくて」
小道「それをどうして私に見せてくださったんですか?」
伍代「笠原さんが不思議なことを解決してくださると聞いたのですわ。ですからお願いしたいことがありまして」
小道「…どんなことですか?」
伍代「実はこの銅像……夜になると涙を流すんです……」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/10 (Wed) 21:02:16
火野「妙なことに付き合ってもらっちゃって悪いね」
小道「いや。問題ない。私はこういうのをどうにかするのが仕事なんだ」
火野「へぇ…。なんだかすごいね」
小道「そういえばなんで私がこんなことをやってると知ってるんだ?」
火野「南に教えてもらったの。こういうのは笠原ならよく知ってるって」
小道「そうか…。じゃあ悪いが夜までこの屋敷に居させてもらうぞ」
火野「分かってるよ。お嬢様の大事なお客様だからね」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/14 (Sun) 21:50:13
小道「ぐっ……!! ぐぐぐぐっ……!!」
銅像「」ズズズズズ
小道(これは……銅像の意志……いや違う……これはもしや……!?)
小道「お……お前……さては…銅像じゃない…な……?」
小道「銅像の形にこそなってはいるが……お前は……憎悪の擬態化……不幸の象徴……」
小道「 お 前 は だ れ だ ! ! 」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/14 (Sun) 22:05:00
小道「……そうか。女の子に乱暴をはたらいたあと、そのままこ●すだけじゃ飽き足らず…、まるで芸術作品のように銅像にして飾っていたのか……」
小道「だがこれはきっと、伍代さんがしたことじゃない…。この銅像を作った芸術家の仕業だ……。銅像にさせられ、成仏もできず、人々の好奇の視線にずっと晒されて…さぞ辛い思いをしてきただろう……」
小道「……今まで辛かったな……。安らかに眠れ……」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/15 (Mon) 22:03:37
―――次の朝、小道はお嬢様たちに話をした。
銅像には芸術家によって●害された少女がそのまま固められていたこと
何年もの間、少女たちが収集家たちによって好奇の目に晒されていたことによって悪霊化したこと
そしてそれが涙であり、彼女たちは魂を封じ込められた苦しみにもがいていたこと
そんな彼女たちの魂を解放するために銅像を破壊したことを―――
もちろんお嬢様たちは、銅像を壊したことについては咎めることはなかった。
そして芸術家による恐ろしい作品の裏側を知ることとなってしまった。それに驚きを隠せなかった。
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/22 (Mon) 21:37:01
冬のある日。我が主は今日もいつものように道場で弟子たちをしごいている。
普段我はその様子を傍から眺めて見たり、時に手合わせしたりして過ごしていたのだが、今日は用事があった。
隣街に住む古くからの知り合いに会うのだ。
最近は人間の文化にもだいぶ馴染むようになり、このように『電車』に乗ることも増えた。
ハクエン(全く。主ではなく我に用事とは一体何事じゃ…)
電車のアナウンスは、友の住む街の名前を告げた。我が下りる駅だ。我は何も深くは考えないで、その電車を降りた。
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/22 (Mon) 21:55:02
たしか知り合いの家へ最も近い通り道は「8」の出口だったはずだ。
我は迷いもなくその通路へ進んだ。『8』という数字の書かれた案内板が照らし出されている。
我が長らく住んでおった森などとは違う、人間が作り出した無機質な通路を通る。
1つ曲がり角があり、そこから伸びる階段を上れば『出口』に着く。
我はまだ何の警戒もせず、『出口』に向かって進んでいった――――
ハクエン「おかしいのぅ。確か角を曲がれば階段があったはずじゃが…」
――――そこに『出口』はなく、「8」の出口の案内板が照らし出されていた。
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/22 (Mon) 22:22:38
どうやら面倒ごとに巻き込まれたらしい。
出口へ進んでも、そこには同じく通路がある。
引き返してみてもそこにはさっき通ったはずである通路が残されている。
だが、よく見れば前者の通路と後者の通路では少し違う箇所がある。
ほんのわずかな違和感―――だが、それを見破ったところで何になるのか。
おそらくこの先を進んでも、出口に着くことはないだろう。
我はさっき来た道を引き返した。
ハクエン「何をさせたいのか分からん。我は一応待ち合わせをしておるんじゃが」
あらかじめ1本早い電車に乗っておいて助かった――――そんなのんきなことを考えていた。
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/22 (Mon) 22:36:50
ハクエン「……ここじゃな」
面倒なことに巻き込まれた。我はそれ以上何も感じてはいなかった。
この面倒というのは例えるなら、「夏場の寝室に蚊が飛んでいる」とか、「冬場の炬燵から体を出して着替える」とか、それくらいの面倒くささだ。
前の通路と後の通路に感じる「わずかな違和感」と共に、我はこれの「もう1つの対処法」に目星をつけていた。
ハクエン「…本当であれば『正しい攻略法』があったのだろうが、すまんな。我は知り合いと約束をしているのだ。もしまた暇な時間であれば、正しい方法で解いてやろう。もっとも――――この鬼火に耐えられたらの話じゃが――――」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/23 (Tue) 22:27:25
刹那、視界が白く光輝いた気がした。
そして大きく聞こえてくる人々の喧騒。
『8番出口』に向かう人々の群れが我の周りを囲っていた。
ハクエン(そうか。そもそも我が1人の時点でおかしいと気づくべきだったか)
本来はこれほどの人集りができているはずの通りで、我は何を見ていたのか。その答えは向こうからやってきた。
???「ふざけんなよてめぇ。なにウチのスマホぶっこわしてくれてんの?」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/23 (Tue) 22:36:08
ハクエン「黒焦げじゃのぅ。良かったじゃないか、こういうのは『保証期間』というのがあるのじゃろ? 壊してしまったとしても、新しい物と取り替えてもらえるそうじゃないか」
???「うるせぇうるせぇうるせぇ!ウチの8番出口作戦がパーじゃん!」
ハクエン「五月蝿いのはお主じゃろ……。通路の真ん中で騒ぐんじゃない」
???「はぁー!? 何バケモンの分際で人間様に歯向かっちゃってんのー!? ウチマジでキレちゃったんすけどー!?」
ハクエン「……お前には、様をつけるような知性を感じぬな。そもそも低級な怪物と我のような妖との差も区別できぬとは……」
???「ボソボソとなに喋ってんのー?? まぁいいわ、ぶっちゃけ今キレ散らかしてるから容赦しねー」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/23 (Tue) 22:41:49
ハクエン「この街は退魔士がたくさんおるとは、知り合いから聞いていたが。こんな低知能なやつまで退魔士を名乗っておるとは」
???「て、てめえぇ! なにもんだ!? どういう了見でこんなことを!? ってゆーか! あっつい! あっつい!」
ハクエン「人に名乗ってもらうときはまず自分から名乗れ。千年も昔からの人間の決まりじゃろうが」
???「わ、わかった! 名乗るから! 名乗るからほどけ、このバカ!」
ハクエン「罵倒の語彙も少ないのぅ……」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/25 (Thu) 09:35:34
ーーーその者の名は「達名数未」というらしい。
自称『最強退魔士』だそうだ。
達名「てめぇみたいなバケモンを倒すのが仕事なの! これやってるだけでバイトするより金稼げるんだぜ!? ヤバくね!? もう普通のバイトなんてやってらんねーって!」
ハクエン「はー……でも我を倒し損ねたわけだし、その金っていうのも無駄に終わったのう」
達名「ほんっとふざけんなよな!? しかもスマホ壊れたじゃんべんしょーしろよべんしょー!!」
ハクエン「なぜ我を○すつもりだったやつのために新しく武器を与えてやらなならんのじゃ。バカも休み休み言え。お前はしばらくこうしておれ」
達名「なっ!? なっ!!? ふざけんな!! ふざけんなどうなってんだ!!」
ハクエン「小さい方がなんか似合っておるからな。お前はしばらくその姿になっておれ」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/25 (Thu) 22:11:06
ハクエン「……で、なんで着いてくる?」
達名「言っただろ!? てめーがスマホべんしょーするまで着いてくからな」
ハクエン「憑霊かお前は…」
達名「ひょーれーとかよくわかんねーけどさっさとべんしょーしろ!」
ハクエン(……やっぱり鬱陶しいから消しておいた方がよかったかのぅ…)
黒狐「おーい、ハクちゃんー! こっちこっちー!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/25 (Thu) 22:40:39
黒狐「どうしたのよその子……迷子かしら?」
達名「ちげーよふざけんなー!!」
ハクエン「実はかくかくしかじかでな……」
――――――
黒狐「なるほどねぇ…。確かにハクエンの『器物破損』ではあるけれども、ハクエンとしては『正当防衛』を訴えたいわけねぇ」
ハクエン「そんな大層なことじゃないが……。大体お前は探偵であって弁護士じゃなかろう」
黒狐「まぁまぁ。これのせいで事件が起きても仕方ないし……」
達名「きぶつはそんとかせいとーぼーえーとかどうでもいいから! さっさとべんしょーしてくれよ!! ”おばさん”もこいつに説得してくれよー!!」
ハクエン「あっ…」
黒狐「……この子ね、こう見えても1000年は生きている大妖怪なのよ? むしろ貴女みたいな低級で下等な退魔士が、出会い頭で消滅していないだけでも奇跡なわけ―――」
ハクエン「ちょ……こっこ……抑え……」
黒狐「――代償がスマホ1つで済んだだけでもありがたいと思わなきゃだめよ…?」
ハクエン「…小娘、気絶しとるぞ」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/25 (Thu) 23:32:52
ハクエン「して? なぜ我を呼んだのじゃ?」
黒狐「そうだったわね。単純に一緒にお茶を飲むのもいいかなって思っただけだけど。この前ニーヤくんがちょっと世話になったじゃない?」
ハクエン「そんなこともあったのぅ。じゃがそれなら我よりも主たちを呼んだ方がよかったのではないのか?」
黒狐「実はそこなのよ」
黒狐「天堂家の下部組織が、笠原さんと接触しようとしてるっていう情報を手に入れたわ」
ハクエン「……それは本当か?」
黒狐「えぇ。だから、お膝元に彼女たちを呼ぶわけにもいかないでしょう?」
ハクエン「我は正直天堂家という者がどういう一族なのかもわからん。我は笠原家とは戦いをしておったが、他の退魔士連中など眼中になかったからな。だから、どれくらい危険なのかも正直わからん」
黒狐「そうねえ。例えばこの小娘のスマホ。これは天堂製よ。天堂家が未熟な退魔士でもそれ相当の武器になるように作った物よ。こうやって壊れたら、どんな方法で壊されたのが分析されて、危険な怪異かどうかを計算されるわ」
ハクエン「すぐにぶっ壊したが……もしかしてマズいことをしたか?」
黒狐「うん。というかハクエンも気づいてるでしょう?」
ハクエン「――――」
黒狐「この喫茶店。客も従業員も、全員敵よ?」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/26 (Fri) 21:57:20
ハクエン「あ~…よう燃えておるのぅ…」
黒狐「とりあえずこれで怪異だの妖怪だの四の五の言う前に警察と消防が出てきちゃうから、さっさと逃げるわよ」
ハクエン「お主やり方がえげつないんじゃよ」
黒狐「だって全員私たちのことを○しにかかってたわよ? そんなのに遠慮なんてしてたらいつ○んでもおかしくないわ」
ハクエン「それにしても、この小娘は連れて帰るんじゃな」
黒狐「当たり前でしょ。この子は天堂家とつながりがある可能性がある子なんだから」
ハクエン「拷問でもするつもりか?」
黒狐「あらやだ私を何だと思ってるのよ(笑) ちょっと”丁寧に”質問するだけよ☆」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/28 (Sun) 21:20:41
ニーヤ「黒狐おかえり~って、あれ、お客さん?」
黒狐「うん、そうなのよ。招いたお客さんと特に招いていないお客さん?ね。お茶とかはいいから、私の部屋にお通しするわ。ちょっと込み入った話もしなきゃだしね☆」
ニーヤ(片方の人気絶してるけど、いいのかな……。あと、もう片方の白い狐っぽい感じの人は……)
ニーヤ「もしかして、君がよく黒狐の言ってた『ハクちゃん』?」
ハクエン「あぁ……そうじゃが。お主は、我が主がいつだったかに構った、ニーヤかの?」
ニーヤ「その通りです!」
黒狐「ハクちゃ~ん、手伝ってよ~」
ハクエン「すまんな、今回はこっこに用事があって来たのでな。またいつでもうちに来てくれ。主たちも喜ぶ」
ニーヤ(あんなに小さいのに、何だか黒狐みたいな雰囲気だなぁ……)
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/28 (Sun) 21:36:46
黒狐「さて……」
ハクエン「待て待て。本当に拷問でもするのか?」
黒狐「ははっ、さすがにそんなわけないじゃない。実は天堂家と全くコンタクトを取れないわけじゃないからね」
ハクエン「ほう? 天堂家に近しい人と知り合いなのか?」
黒狐「えぇ。天堂宗近くんって言うんだけどね」
ハクエン「……天堂を名乗っておるのか!?」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/28 (Sun) 21:58:52
宗近「なんすか姐さん。オレを呼び出して……というか、お客さんすか?」
黒狐「そうねぇ。招かざる客とお友達ってところね」
宗近「招かざる……は良いとして友達?」
ハクエン「あぁ。我が名は白淵……。狐の妖じゃ」
宗近(…身体は小さいが、力は姐さん相当の力がある……)
黒狐「えっと……。この子は天堂家の人なんだけど、家族とはケンカ別れして今はここに住んでるのよ」
宗近「なんすか? 何か怪しい話でもあったんすか?」
黒狐「そうよ。これから詳しく話すわ」
宗近(こっちの気絶してる女の子には触れなくていいのか?)
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/29 (Mon) 21:39:26
宗近「なるほど。親父は確かに強い力を持つ退魔士を集めてるっす。大昔から退魔師を生業にしている笠原家の人間は確かに魅力的っすね」
黒狐「確か、海外からも集めてるって話よね?」
宗近「そうっす。『悪魔のゆりかご』っていうよく分からないものの開発に協力したとか何とかって言うのを少し前に聞いたっす。今はどうなってるか知らないっすけど」
ハクエン「そうか。さすがに天堂家の中の事情まで詳しい人というのはそうはおらぬ。心強い味方じゃな」
宗近「……でも、オレは親父たちがどういう風に笠原さんたちに接触をするかは知らないっす」
黒狐「そこで役に立つのがこの子ってわけよ!」
宗近「そういやこの気絶してる子はどうしたんすか?誘拐っすか?」
黒狐「違うわよ。この子はこのスマホで退魔してる退魔士くずれの一派だと思うんだけど、見覚えとか、どこの派閥かとか分からないかしら?」
宗近「さすがにそんなことは分からねぇっすね。下部組織の人間なんざ何百人といますし……。でも、そのスマホがどうにか使えれば……」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/30 (Tue) 14:31:46
ハクエン「スマホは中身ごと消し炭じゃ……」
宗近「そういや、スマホの幻術アプリにかかった状態で抜け出したんっすね」
ハクエン「幻術アプリというのはすごいのか?」
宗近「そっすね。ある程度の怪異の力を再現したアプリっすから。要は何かしらの妖怪の力を、妖怪が上回ったってことっすからね」
ハクエン「まぁ、我の力もあればその辺の妖怪なぞ造作もないからの」
黒狐(なんかちょっと得意気になってるわね)
宗近「うーん……。あまり乗り気じゃなかったんすけど、オレのスマホも使ってみますか? オレのも一応入れてるんすよ。消すつもりだったんすけど、何かのときに使えるといけないからって残しといたんす」
黒狐「さすが宗近くんね!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/30 (Tue) 14:41:04
宗近「地図機能を使うと、どこにどういう怪異がいて、誰が向かっているかが分かるんすよ。っていうか、何かすごい高いレベルの怪異反応が2つあるっすよ? 駅と……カフェっすかね?」
ハクエン(あぁ……8番出口のやつか)
黒狐(あぁ……私が燃やしたやつね)
宗近「駅付近のやつは……達名?って名前の退魔士が向かったそうっすが、撃沈したと……」
ハクエン「あぁ、それがこれじゃ」
宗近「……なるほど」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/31 (Wed) 21:33:38
宗近「そうなると、ハクさんは駅に降りたときにすでに達名に認知されてたってことっすかね?」
黒狐「でもそれはおかしいわ。今の私たちは別に怪異として認識されていないものね」
宗近「そうっす。これは怪異が起きた場所を認知する機能なので、怪異を起こすものや、妖怪などを認知する機能じゃないっすから」
ハクエン「となると、我はこいつに待ち伏せされてたってことか……?」
黒狐「……起こして聞いてやった方がいいかもね」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/01/31 (Wed) 22:19:21
達名「うぅん……あれ? ここは……って、ええ!? どういうじょーきょー!?」
ハクエン「お目覚めか? 退魔士崩れよ」
達名「あぁっ! お前!! スマホべんしょーしろー!! というかその前に、これほどけー!!」
ハクエン「別にスマホを新しいのにしてやるくらい構わんが、その前に大事な話をしないか?」
達名「な、なんだよ!」
ハクエン「なぜ我を8番出口に引っかけた?」
達名「な、なぜって……」
ハクエン「何か言えぬ事情でもあるのか?」
達名「えぇ……それは……。あっ、そーいや、スマホはもう一個別のがあったからそっちでいーや! あはははは………」
ハクエン「……正直に話した方が身のためじゃないか?」
達名「ひぃ!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/01 (Thu) 17:31:25
達名「……DMが送られてきたんだ。宛名は登録されてないところからだったから誰かは分からないけど、少なくとも退魔アプリのDMだから信用して、1匹狐が紛れ込んでいるから、そいつを捕まえろって。報酬は高くつくって」
ハクエン「それにまんまと引っかかったってわけかの」
達名「でもそれが、スマホ丸焦げだしよー! ふざけんなよこんな強いって聞いてねーよー!!」
ハクエン「DMを送ってきたやつのことは何も分からぬのか?」
達名「わかんねーよ~! だってプロフィールとかもへんしゅーされてないやつだったし!」
ハクエン「そんなやつのメッセージをよく信用したのぅ」
達名「だって、上位ランカーだってのはプロフの色でわかったし! 上位ランカーの話はきちんと聞いとかないとって思って!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/01 (Thu) 18:33:49
ハクエン「プロフィールの色でランクが分かるのか?」
宗近「そっすね。下は区別ないんすけど、上位ランカーは確かにマークがついてるっす」
ハクエン「そうなると、マークだけである程度特定できるんじゃないか?」
宗近「なるほど。山のように退魔士はいるけど、上位ランカーは数が少ないからいけるかもっすね」
達名「な、仲間は売らねーよ!? 妖怪とか関係なしにお前らやってること普通にやべーし!!」
ハクエン「この壊れたスマホの敵を取りたいと思わんか?」
達名「………」
ハクエン「そもそも我は力を抑えてこれだったんじゃ。正直本気を出せば、駅ごと潰しても足りないくらいの力は出せたんじゃよ。我はそれくらいの力を持っておる」
達名「そんなはったり!」
ハクエン「試してみるか? 宗近、適当にそのアプリで怪異を出してみよ。こやつに我の力を示してやろう」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/01 (Thu) 19:55:13
宗近「このアプリには、状況に応じて色んな方法で怪異を倒す術がインストールされてるんす。だからうまく使えば……」
宗近「こうやって、怪物を召喚することだってできるんすよ」
達名「な~~!!!? なんだこのばけもの~~!ー!?!?」
宗近「……あんたのレベルでも出せるくらいの低級な猫の地縛霊だよ…これは巨大化させてるから相当強いけど…」
ハクエン「……失せよ」
地縛霊「……!!!!」
達名「き、消えた!?」
宗近「いや、消滅したっす。あのたった1撃であれだけ巨大な地縛霊が一瞬にして消滅する。このレベルの怪物が今目の前にいるんすよ」
達名「………!!!」
ハクエン「……我の言うことは素直に聞くのが吉じゃぞ……」
達名「」
宗近「気絶してる」
ハクエン「まずはこいつの気絶癖から治した方がいいな」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/03 (Sat) 21:35:02
ハクエン「さて。上位ランカーとやらの中に、こやつをそそのかしたものがおるという風に見て違いないのだな?」
宗近「達名の話を聞く限りそんな感じっすね」
ハクエン「上位ランカーとやらはどれだけおるのだ…?」
宗近「公式アプリで上位ランカーとしての権限を与えられたユーザーは20人ほどっす。ただ、さっき達名が言っていた、『プロフ欄を編集していない上位ランカー』というと数も限られてくるっす」
黒狐「普通こういうもののプロフ欄って自分らしく編集するのが普通だものね。そうじゃないと上位ランカーだってことも分からないし」
ハクエン「名声を周りに誇示しないのは確かに奇妙なことじゃな…」
宗近「そういうことっす。というわけで……ヒットしたっすよ。達名をそそのかした上位ランカー」
宗近「…本名は分からないっすけど、『氷の女王』っていう二つ名がついているみたいっす」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/04 (Sun) 22:00:23
―――ところ変わって。
消防士「やべぇな全然火が消えねーぞ!!?」
消防士「中の救助もこの炎じゃできねーぞ!!」
消防士「くそっ…!! どうすれば……!!」
???「……全く。こんな派手なことをしてくれちゃって……」
消防士「な…なんだ君は……!?」
???「これは普通の炎じゃないですよ。鬼火。それも超強力なヤツ」
???「『こうやって』やらないと消えないよ……!!」
消防士「な……なんてことだ……。あんなに大きな炎だったのに……」
消防士「全部消えちまった……。こんな大きな氷柱で……」
???「私は氷の女王。もしも何か普通じゃない炎があったら教えてちょうだい」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/05 (Mon) 21:34:13
女王「もしもーし。私たちの仲間が何人もやられたわ。徹底抗戦した方がいいわね」
女王「…いきなり笠原小道を狙うのは難しいでしょうね。となると―――そうね、空港を狙いなさい」
女王「あなたたちがその手で行くなら、私たちも容赦しないわ」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/05 (Mon) 21:58:15
黒狐「一旦、氷の女王とかが動きを見せていないか確認する必要がありそうね」
宗近「どうするんすか?」
黒狐「私とニーヤくんで、外の様子を探ってくるわ」
宗近「ニーヤも連れていくんすか?」
黒狐「むしろニーヤを連れていかなきゃ、退魔士はろくに姿を表さないでしょうね」
宗近「……姐さん一人だけでも十分寄ってくるとは思うっすけど……」
黒狐「退魔士だけじゃなくて、警察にお世話になっちゃったら大変だもの~」
宗近「…姐さん何してきたんすか…」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/05 (Mon) 22:27:53
ーーーというわけで。
黒狐「さてニーヤくん、行くわよ!」
ニーヤ「今度はどこへ……?」
黒狐「人ならざるものによって不幸な火事に見回れた可哀相なカフェよ!」
ニーヤ(絶対悪いやつがいるじゃん……)
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/07 (Wed) 14:52:07
黒狐「……ここがそのカフェよ~」
ニーヤ「うん……まだ煙出てるし、つい最近まで燃えてたでしょ……」
黒狐「……」
ニーヤ「もしかして黒狐が燃やしたんじゃ……」
黒狐「……来るわ」
地面から氷柱が飛び出し、ニーヤを抱えて飛び上がる黒狐
女王「へぇ。上手いじゃん。放火魔のくせに」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/07 (Wed) 15:07:09
黒狐「おいでませ…おいでませ…綾雅公…不浄の鬼を斬り祓い給う…」
ニーヤ「……ズズズ……コ……ロス……」
女王「あらあら。完全に臨戦体制なのね、ならこっちもそれなりにお相手してあげるわ!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/07 (Wed) 15:18:37
―――戦いは熾烈を極めた。
女王「はぁ……はぁ……中々なるじゃない。この私をここまで追い詰めるなんて……」
ニーヤ「……ズズズ……」
女王「でも、その子を依り代にしておくのも限界って感じ。お互いにジリ貧じゃないかしら?」
黒狐「……じゃあこれ以上戦うメリットはないわね。いくつか質問させてもらうわ。回答次第じゃ、もっと痛い目にあってもらうわよ」
女王「………」
黒狐「達名を使って、ハクエンに攻撃をしかけたのは貴女とその派閥で間違いないわね?」
女王「……達名って名前だったかは確かじゃないけど、そうね。駅で狐を捕まえるように指示したわ。失敗しちゃったみたいだけど」
黒狐「貴女たちは笠原家とコンタクトを取ろうとしている。これも間違いないわね?」
女王「……取ろうとしているじゃなくて、『取った』が正解よ」
黒狐「どういうこと?」
女王「たった今部下から連絡が入ったわ。笠原家の娘を1人確保に成功したってね!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/07 (Wed) 16:25:48
―――事務所にて。
達名「べ、別にお前なんかこわくねーし!」
ハクエン「分かった分かった。だからもう少し近こう寄れ」
達名「こ、こっちくんなー!!」
宗近(ここは幼稚園か……)
―――ハクエンの携帯電話が鳴る。
ハクエン「もしもし? 主か。どうしたのじゃ?」
小道「あぁ。用事で出ているのに済まん。だが、何だか妙に胸騒ぎがしてな。さっきから小孝と連絡がつかないんだ」
ハクエン「小孝とじゃと? 主はそもそも今日は誰か妙な人間と会ってはおらんのか?」
小道「妙な人間ってなんだよ。 特に会ってはいないな。それより小孝に何かあっては不安だ……」
ハクエン(天堂家は主にまだ接触していないのか? 主が変に動くとそれだけで天堂家と遭遇するリスクが……)
小道「大体こういう第六感というやつは当たると、小弥も言っているからな……少し外に出て調べてみようかと思っているんだ」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/07 (Wed) 16:32:38
宗近「今のはあなたの主さんっすか?」
ハクエン「あぁ。笠原家長女の退魔師、笠原小道だ」
宗近「もう一人小孝さんっていうのは?」
ハクエン「あぁ、主の妹じゃ。プロ野球選手をしていてな。そろそろキャンプとやが始まって練習をしに沖縄まで行くところじゃ」
宗近「彼女は退魔師ではないんですか?」
ハクエン「そうじゃ。退魔師としての力は発現しておらぬ。ゆえに小孝は退魔とは無縁の――」
ハクエン「………もしや……!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/07 (Wed) 16:42:22
―――黒狐に電話をする。
ハクエン「おい! こっこ! 大変じゃ!!」
黒狐「こっちも大変よ!! 笠原家の娘がすでに天堂家に……」
ハクエン「それじゃ!! もし捕らえられたのだとしたら、そいつは笠原小孝!! 退魔師とは一切関係のないただの小娘じゃ!」
黒狐「!!? そ、そういうこと!?」
ハクエン「だとしたら問題ない。今から小道を引き連れて小孝を救出に向かう!」
黒狐「ば、場所は分かってるの!?」
ハクエン「あぁ。懇切丁寧にも、プロ野球選手は毎年この時期に集まる場所というのが決まっておるのじゃ!」
ハクエン「空港じゃ! もし吉瀬地方で捕えるというのであれば、空港しかない…!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/08 (Thu) 21:45:57
宗近「だとしても、どうやって空港まで行くんすか?」
ハクエン「誰か車を運転できるものは……」
宗近「オレは未成年なんで無理っす」
ハクエン「達名は…!?」
達名「………」
ハクエン「何か使えるのか!?」
達名「………」
ハクエン「答えぬのなら……身体にきいてやろうかの?」
達名「ひ、ひっ!? わ、わかったって!! 一応無料でタクシーに乗れる優待があったはずだから!」
宗近「なんだお前、その雰囲気で実は金持ちだったのか?」
達名「だー! もうっ! これだから言いたくなかったんだー!! うちは金持ちだけど、そんなんかんけーねーっての!! 私は私でちゃんと稼げるってとこ見せるつもりで、退魔士やってんのによー!!」
宗近「……オレそういうの嫌いじゃねーよ。お前、中々いいこと言うじゃねーか。オレたちで空港に乗り込んで、全部ひっくりかえしてやろうぜ!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/08 (Thu) 22:05:11
達名の無料タクシー優待券で小道を拾い、そのまま空港へ向かう。
小道「なるほど。退魔師を集めるために本来は私を狙わなければいけないところを、情報不足だったせいで小孝が狙われてしまったと」
ハクエン「そういうことじゃ」
達名「まさかこんなつよいれんちゅーだとは思ってもいなかったっつーの」
小道「こいつは無害でいいのか?」
ハクエン「大丈夫じゃ。こいつ自体は何なら小弥よりも弱い」
小弥「ど、どういう意味だコラー!!!」
宗近(騒々しさが増したな……)
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/08 (Thu) 22:22:34
―――空港に到着。
小道「確かに不穏な気配がする。気を引き締めて行くぞ」
宗近「オレたちも一緒に行くぜ」
達名「しゃーねー!こうなったらもういくとこまでいってやるー!!」
ハクエン「達名と宗近はアプリのことなら詳しい。4人で一気に乗り込むぞ!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/09 (Fri) 21:49:37
―――カフェ前。
黒狐「どうやら笠原家の件はどうにかなりそうね…。ハクちゃんもそばにいるしね」
女王「ふふん、それはどうかしら?」
黒狐「どういう意味よ……?」
女王「我々天堂家傘下の者たちが、我々だけでも十分実力があるにも関わらず、なぜ笠原家の力を求めているのか、それが分かっていないんじゃない?」
黒狐「……そうね、確かに。貴女も実力は確かに本物だわ。貴女レベルの人たちがもっとたくさんいるのだとしたら、確かに笠原家を取り込む必要なんて無さそうね…」
女王「だからこそ……。私たちの計画はまだ終わってはいないってことよ……!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/10 (Sat) 21:43:21
―――空港内部。
小道「空港の地下だな。地下から小孝の精気を感じる」
宗近「…この空港も人がいない。もしかすると、ハクエンがハマった8番出口と同じ作りかもしれないっす」
小道「どういうことだ?」
宗近「簡単に言えば、ここは空港の形をした異空間。そこにオレたちを放り込んで、自分たちのホームで戦おうとしてるってことっす」
ハクエン「つくづく用意周到じゃのう。我らがここに来るのをあらかじめ予期していたようじゃ―――」
???「―――その通り……!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/10 (Sat) 21:51:11
???「我は天堂家傘下退魔士四天王が1人、風の覇王…!!」
覇王「笠原家の力は我々天堂家の根となり葉となる……! 大人しく軍門に下るがよい!!」
ハクエン「…面倒じゃな。我が引き受ける、3人は先へ急げ」
覇王「この化け狐ごときが、我を倒せるか―――!!」
ハクエン「…久しぶりに本気の力を見せてやろうかの…」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/10 (Sat) 22:00:08
???「待ちな…!!」
小道「…っ!!」
???「ここから先は、天堂家傘下四天王が1人、炎の豪傑の名にかけて通すわけにはいかんな」
達名「とうとう私の本領を発揮するときが来たみたいね!!」
豪傑「こんな小娘に、俺の相手が務まるのか……?」
達名「ハクエンに関しては例外中の例外…! 私がさいきょーの退魔士であるってことを見せつけてやるもんね!」←宗近からスマホ借りた。
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/10 (Sat) 22:09:13
小道「よし、先に進むぞ!」
小弥「ちょ、ちょっと待て!」
小道「どうした? 小弥」
小弥「……すまん、小道。私は、あの娘が心配でならない」
小弥「私はあの娘に付いてやりたい……!」
小道「……分かった、小弥、達名を頼んだぞ!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/10 (Sat) 22:38:10
小道「四天王…『炎の豪傑』、『風の覇王』……」
宗近「名前がアレっすが、確かに相当な実力者であることには違いないっす。そして今姐さん……黒狐とニーヤがもう1人、『氷の女王』と戦ってるっす」
小道「ということはあと1人……」
???「そう、天堂家傘下四天王はあと1人存在する」
小道「で、出たな……?」
???「わたくし、地の賢者と呼ばれています。どうぞお手柔らかに」
小道「お前たち四天王1人1人相手している暇はないんだ。私の目的は―――」
賢者「貴女の目的はこの方でしょう……?」
―――そこには絵画のように飾られている笠原小孝の姿があった―――
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/10 (Sat) 22:58:49
賢者「退魔士の術の1つである『絵画化』をもってすればこのように絵にして封印してしまうことも容易い。最も、女子プロ野球選手である彼女はなんだか野球カードのようになってしまいましたが……」
小道「……私はあまり気の長い方ではなくてな……。特に家族のことともなれば尚更な……。訳の分からん術を解きさえすれば、命の保証はしてやる……」
賢者「ほほほほ。何のためにこの空港空間に彼女を閉じ込めたと思っているのですか?」
小道「……色々と黒い噂をハクエンから聞いた。天堂家ってのはどうやら中々あくどいことをしていると。笠原家の力が欲しくてここまでのことをしたのではないのか?」
賢者「そうですねぇ。50点と言ったところでしょうか?」
小道「……何?」
賢者「貴女たち現代の笠原家は随分と平和主義者が多いようで、たった2人しか退魔の力を発現していないのだとか?」
賢者「加恵市には随分とたくさんの退魔士を集めました。それこそ、スマホで簡単に退魔士としてそれなりの技量を持たせることができるように、実力の底上げも図るほどにね」
賢者「それであるにも関わらず、相も変わらずこの世は怪異やら妖怪やらの事件は多い。貴女も退魔師として活動をしてそれはよく分かっているのではないですか?」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/11 (Sun) 13:58:49
小道「そうだな。いつ命を落とすかも知れない危険な仕事だ。だからこそその道に小孝は踏み込んでほしくはない」
賢者「そうですか。でももし、天堂家の力で彼女が『笠原家の力を超える退魔士』になれるとしたら?」
小道「……どういうことだ……!?」
賢者「少し前に、『悪魔のゆりかご』という実験のデータが送られてきましてねぇ。これが素晴らしい。国津神に匹敵するほどの力を持つとは。もしこれが退魔士の技術として応用できれば、それに越したことはありません」
小道(悪魔のゆりかご……確か母上が対峙した、コトリバコと蟲毒のキメラ……! まさか天堂家はアメリカにも勢力を伸ばしているっていうのか……?)
賢者「ですがこれを一般人に使わせるのは大変危険だ。実際に悪魔のゆりかごを実際に使ってみたデータでは、力のあまり暴走してすぐに消滅したとされている。これではダメです」
小道(確かにアレは母上がすぐに倒してくれたから……)
賢者「だから相当の力を持っている者―――退魔師に使わせてしまえばいいのではと思ったのです」
小道「だとしたらそれは間違いだ。その子は退魔師じゃない。ただの一般人だ」
賢者「いいえ違います。この子はれっきとした退魔師の血筋を持つ子です。だってそうじゃないですか。もし今この瞬間に、貴女と貴女の母が○んだら、だれが退魔師をやるんですか?」
小道「……」
賢者「あなたたち笠原家が見て見ぬふりをし続けてきた事実です。この子は今は退魔師としての実力を一切出していない。しかし、紛れもなく笠原家の人間なのです」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/11 (Sun) 14:08:19
賢者「そもそもがおかしいんですよ。貴女の住んでいる吉瀬地方の替市には、なぜか退魔士がほとんどいない。宮司である清原家……笠原家の分家である黒原家……。我々の調査ではこの辺りでしょうが、それにしても少なすぎる。あなたたち笠原家に全ての力が集約されている。そうして、莫大な力を何代にもわたって保持し続けてきた。それが貴女たちだ」
小道「それはその通りだ。我々笠原家は『退魔士』ではなく、『退魔師』だ。退魔に目覚めた者たちではなく、血筋として『退魔をする』という運命を持つ一族。だがそれに巻き込まれない人がいたっていいはずだ」
賢者「それが困るんですよ。天堂家としてはね。我々のボス、天堂龍臣は出来る限り多くの強い退魔士を望んでいる」
賢者「それがどうやら、彼の成し遂げたいことにキーになるようなのでね」
小道「それに私たちを巻き込んでるってことか……?」
賢者「人聞きの悪い。貴女たちでもなし得なかった退魔師の才能開花をさせてあげるのですから。むしろ感謝してほしいのです」
小道「……ふざけるなよ……」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/11 (Sun) 14:21:14
ハクエン「達名、どうにか片付いたか……?」
達名「すっげーのな!! 小弥と私のコンビネーションがあれば、てきなんていねーってことよ!!」
小弥「あぁ!今ならハクエンでさえも手玉に取れる気さえしてくる」
ハクエン「それは調子に乗りすぎじゃ……」
黒狐「おおーい、ハクちゃん~!!」
ハクエン「おぉこっこ!無事に戻ってこられたか!」
黒狐「まぁね。私たちが本気を出せば、あの程度は朝飯前よ♪」
ニーヤ「……」
ハクエン「ニーヤの方は少し疲れておるようじゃの……」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/11 (Sun) 14:28:54
黒狐「それで…? 戦況はどうなのよ?」
ハクエン「…まずいのぅ。空港から出ている精気の量が凄まじい。とんでもない戦いをしているのではなかろうか……」
黒狐「あなたと戦ったときと同じくらい?それ以上?」
ハクエン「それ以上かもしれん」
小弥「姉上……。小道に御力をお与えください……」
ニーヤ「…………」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/11 (Sun) 14:48:04
宗近「さっきから黙って聞いていれば、偉そうに龍臣の名をかたって好き放題言いやがって」
賢者「貴方には関係のない話です。ここまで小道さんを連れてきてくださってありがとうとでも言っておきましょうか」
宗近「オレの名前が天堂宗近だって聞いても、まだそんな呑気に言ってられんのかよ」
賢者「…天堂……。貴方は龍臣様の弟君……」
宗近「最近の兄貴は確かに変わっちまったが、他人の幸せを奪うような非道じゃねぇぞ!!」
小道「悪魔のゆりかごは今すぐこの場で破壊してやる。そしてすぐにでも小孝を解放する」
宗近「オレもバックアップさせてもらうっす!」
賢者「まずはデモンストレーションです!この『悪魔のゆりかごMARKⅡ』の力を思い知ればいいです!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/12 (Mon) 22:08:59
小弥「っ!?」
ハクエン「ど、どうした!?」
小弥「こ、この嫌な気配は……。前に小向といたときに感じたものと同じ…」
ハクエン「なんじゃそれは……」
ニーヤ「まずい……すごくまずい………」
黒狐「ど、どうしたのよ、ニーヤくん……」
ニーヤ『アレを再び目覚めさせてはならぬ!!』
ハクエン「そ、その声は……小葉か!?」
ニーヤ「しばらくこやつの体を借りるぞ。ハクエン、小道や小孝が危ない。すぐ行くぞ!!」
黒狐「ちょ! わ、私も行くわ!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/12 (Mon) 22:23:47
小道「ぐっ……!!」
宗近「ぐぅっ……!!」
賢者「ふははは!! 強い!強いぞ悪魔のゆりかご!! これ単体でも素晴らしい力だ! さすが怪異と怪異のキメラだ!」
小道「こんなもの、小孝に触れさせたりなんてことをしたら、体が持つわけがない……!」
宗近「……兄貴がこんな危険なものを開発しているとは……」
小道「君の話を聞いている限り、もしかすると何かの間違いかも知れない。君がお兄さんを信じるのであれば、私も信じよう」
賢者「この力を笠原家の血筋に流し込むのだ。どんな怪物が生まれるのか、今からワクワクが止まらない!」
小道「そうはさせるか……!」
ニーヤ「よく言った小道!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/14 (Wed) 17:10:45
賢者「次から次へと!四天王たちは何をしている!」
ニーヤ「余所見をしている場合か!?」
小道「あの精気は……小葉……!?」
黒狐「うちのニーヤくんはね、ああやって英霊を憑依させて戦うことができるのよ」
黒狐「貴女のご先祖様にも随分強力な英霊……守護神様がいらっしゃるみたいじゃない」
小道「あぁ……。そうだな」
ニーヤ「小道、こやつの動きを封じた!! 思いっきり一撃を食らわせてやれ!!」
小道「分かった!! いけぇええええええ!!!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/14 (Wed) 18:18:26
ニーヤ「これで投了と言ったところか?」
賢者「ぐぬぬぬぬ!!」
賢者「まだです……!! まだ奥の手があるのです……!!」
宗近「そうはさせるかよ!」パンッ
黒狐「ごめんね♪」グシャッッ
賢者「わ……私のスマホが……!!」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/14 (Wed) 18:39:12
―――空港型異空間は姿を消し、元の空港へと戻っていく。
小孝「……」
小道「こ、小孝!!」
小孝「あ、あれ……姉貴……? どうしたの?」
小道「……心配したんだぞ」
小孝「あれ……ここは……。あっ、ちょっと待って…私今から沖縄に行かないといけないんだ」
小道「……そうか。そうだったな」
小孝「もしかして、何か助けてくれた感じ?」
小道「……いや。見送りに来ただけだ。アメリカ帰りだし、心配だったんだ」
小孝「……そっか」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/14 (Wed) 18:49:54
ハクエン「やれやれ…。『見送りに来ただけ』とは。なんとまぁ人騒がせな見送りじゃ……」
黒狐「ほんとにそうね…。おっと…、さすがにニーヤくんも今回ばかりは疲れたみたいね」
ハクエン「よく頑張ってくれたのぅ。こっこもニーヤも宗近も感謝するぞ」
黒狐「とりあえず私の事務所に戻りましょう。小道ちゃんは…そっとしといてあげましょうか」
達名「おい置いてくな! 私にも感謝しろよ……!!怒」
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/14 (Wed) 20:51:49
龍臣「……四天王、全員壊滅ですか……」
賢者「…た……龍臣さま……。も…申し訳ありませんッ……!! 我々四天王の身でありながら……」
龍臣「まぁ私としては四天王だなんだと肩書きにこだわるよりも、実力で力を示してほしかったのが現状ですが……」
龍臣「ですが大丈夫です。貴女には特別にチャンスを与えましょう」
賢者「ほ……本当ですか!?」
龍臣「えぇ―――『悪魔のゆりかごRev.3』の被検体になってもらいます」
賢者「――――へ…?」
龍臣「貴女もご存じの通り、悪魔のゆりかごは蟲毒とコトリバコのキメラです。ですが、β版のそれは1人のクローンを共食いさせていたのですよね」
龍臣「確かにそれでもコトリバコの要件は満たせますが……。同じ人間よりも違う人間を混ぜた方が良いに決まってます」
龍臣「ですから、貴女も被検体として協力してください。 悪魔のゆりかご…いえ、『devilscradle.Rev.1.02』のために」
賢者「そんな……いやだ……いやです……、私が……蟲毒の中に入るなんて…」
龍臣「何を言っているんですか。貴女も天堂家傘下退魔士四天王の1人でしょう? でしたら生き残ればいいのです。生き残れば貴女が『devilscradle.Rev.1.02』になれるんですよ」
賢者「いやだいやだいやだいやだ!!いやだあああああああ――――」シュゥゥゥゥッ
龍臣「…精々頑張ってくださいね」ズズズズズ
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/14 (Wed) 21:42:27
ハクエン「して……。これでとりあえず一件落着なのか?」
黒狐「さぁ? 正直分からないわ。まさか笠原家は笠原家でも、一般人の妹の方に手を出すとは思わなかったもの」
ハクエン「…小孝にも危害が及ぶのでは…我々も対処しきれんぞ……」
黒狐「そうよねぇ。プロ野球選手って、毎年とんでもない距離を移動するって話じゃない」
ハクエン「じゃあどうするのじゃ……」
黒狐「1つ良いことを思いついたわ」
ハクエン「……何か嫌なことを思いついたときの顔じゃな」
黒狐「…私たちも天堂製のスマホを持つっていうのはどう?」
ハクエン「わざわざ敵のものを手にしてどうするというんじゃ」
黒狐「あれでも、退魔士のアイテムとしては相当優れてるわよ? なんでもそうだけど、モノや技術は何も悪いことはしないわ。いつだって使う側が悪いのよ」
ハクエン「小孝にも退魔士スマホを持たせて…緊急時に我々で対応できるようにしておく…ということか?」
黒狐「そう、大正解。何だったら、ハクちゃんや小道ちゃんは持っていなくてもいいわ。我々だけでも持っておいて、緊急時には助けに行ってあげる」
ハクエン「……お主も随分正義の面が似合うようになってきたじゃないか」
黒狐「何を言ってるのよ。昔は確かにちょっとやんちゃしてたけど、今は立派な探偵よ?」
ハクエン「……今回に関してはお礼を言わねばならん。本当にありがとうな」
黒狐「……丸くなったのはお互い様……じゃない?」
ハクエン「…そうかもな」
――――fin
Re: 退魔師笠原さん!④ - ポーラ(旧PPD)
2024/02/15 (Thu) 22:42:16
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