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退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/01 (Tue) 22:29:11
小向「ここが、ダークエルフの子たちが働かされてる場所?」
ベラ「はい! ですが今は広場に集められているようです!」
小向「よし、じゃあ広場に行こう!」
ベラ「姫が無事ならいいのですが…」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/02 (Wed) 22:37:55
マリー「ダークエルフども、よく聞きなさい!!」
マリー「お前たちの中で裏切り者が見つかった! これはつまり我々との交渉の場で裏切りを図ったということになる!!」
マリー「ということでお前たちの姫様は、今この場で2つのうちどちらかを決めることになる!『我々に永久に服従をして強制労働をする』か『森の聖水を精製し我々に差し出す』かだ! 姫よ、2つに1つだ。今この場で決めなさい!!」
姫「くっ……!!」
ベラ「その必要はありません!!! 姫!!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/05 (Sat) 21:35:14
ベラ「もうこれ以上好き勝手はさせないぞ!!」
マリー「ふふん……。ヘザーを倒してきたのね。結構骨のあるやつみたいじゃない」
ベラ「いつまでその余裕ぶった態度でいられるか、今こそ決着をつけてあげましょう!」
マリー「言っておくけど、ここは本当に私たちの私有地よ? つまるところ私たちの支配地域なわけ」
ベラ「…何が言いたい……?」
マリー「ダークエルフは妖精……神の使いが人間の世界に降りてきた一族。つまり、神の天敵である悪魔は天敵よね」
ベラ「……!!?」
マリー「ここに大きな悪魔召喚の魔法陣を張っておいたわ。どんな恐ろしいものが出てくるかしら」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/11 (Fri) 17:52:16
悪魔「キッヒッヒッヒッ……!!!」
ベラ「ま、マズいです…! コナタさん……!!」
小向「ほんとね……。こんなヤバい悪魔を召喚できるほどの魔法陣を目に見える対価無しでなんて……」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/12 (Sat) 22:39:05
※※戦闘は苦戦を強いられた※※
悪魔「もうこれで終わりか? ダークエルフ…そして人間よ」
ベラ「はぁ……はぁ……。ダメです……。決定打を与えられない……」
小向「これは悪魔というよりもはや神様…国津神級ね……」
悪魔「当然よ。我はかつて天に住まう天津神に反旗を翻した堕天使の末裔……。貴様らダークエルフと人間ごとき赤子の手をひねるようなものよ」
小向「こいつを倒すには、天津神級の格のある力が必要ってわけね…」
ベラ「そんなのどれだけの対価を払わなければならないか……」
女王「……」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/14 (Mon) 22:00:47
女王「……こうなれば私たちも神を召喚するしかないようです……」
ベラ「そんなことできるのですか?!」
小向「正直いくらなんでもあのレベルの悪魔は厳しいわ…。退魔師なのに情けないけども」
女王「えぇ……。私たちダークエルフたちが束になっても、アレには大したダメージを与えられないでしょう……」
ベラ「ならどうするのですか!?」
女王「……神を召喚しましょう。私たちダークエルフも、かつては神の使いだったものの末裔なのですから」
小向「そうか…エルフなら国津神ともつながりがあるわ…」
ベラ「で……ですが、召喚の儀式にはかなりの代償が―――」
女王「私たちの仲間が助かるのです。ここで命を懸けられないのでは女王の名が廃りますわね」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/14 (Mon) 22:56:52
ベラ「で……ですが……、母上……!!」
女王「…ベラ……。いいのです…。私の命すべてをかけてでも、私たちダークエルフたちを守り抜きます…。そして何より、貴女をこれ以上苦労させたくない……」
ベラ「私は苦労に感じたことなど全くありません…!!ですから、命を投げうつような考えはおやめください!!」
小向(……やっぱりこの2人、母娘だったのね……)
――――――――――――
小向(もし私の命をかければ小道や小孝が助かるなら、私は命を差し出すかしら……)
小向(…なんて、考えるまでもないわよね)
――――――――――――
小向「女王陛下、私も力を貸します」
女王「え……? そんな、私たちダークエルフたちに関係のない貴女がここまでしてくださったのに、これ以上危険にさらすわけには……」
小向「…これでも私は退魔師ですよ。この世界を怪異から守るために縦横無尽に駆け巡ってきたんです。 そしてそれ以上に―――貴女の母親としての気持ちに、種族など関係ないことを思い知らされました」
女王「……あなたは昔、ここに来た人たちとそっくりな目をしていますね。分かりました、では、一緒に神の召喚呪文を唱えてくださいませ」
小向「祝詞のようなものね」
ベラ「……私はそれまで何とかあの悪魔を足止めしています……!コナタさん、ぜひ女王陛下…いえ、母上をお願いいたします!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/16 (Wed) 23:09:54
小向「女王陛下、天津神を呼ぶ方法、祝詞を唱えることができるのですか?」
女王「えぇ…。我々ダークエルフは、王の座を受け継ぐときに必ずこの呪文を覚えるのです。あなたたちの国では『祝詞』と呼ぶのですね。覚えておきます。では、読み上げます。私の言ったあとに続いてお読みください」
小向「…できるかしら。……やってみます」
女王「謌代i縺悟、ァ蝨ー繧貞ョ郁ュキ縺吶k逾槭h縲よ繧峨?螢ー縺ォ蠢懊∴縺溘∪縺医よ繧峨?鬲ゅ↓蜻シ蠢懊@縺ヲ縺薙?雎願即蜴溘?蝨ー縺ォ蜷幄?縺励◆縺セ縺医」
小向「……ごめんなさい。全く分からないわ。なんて発音しているかすら聞き取れない……」
女王「……やっぱりダメでしたか。これは古来から伝わる召喚呪文です……。現代の人間では発音すら難しいのかも……」
小向「……待ってください。私の知り合いに古来の言葉に長けたものがいます!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/17 (Thu) 21:30:50
小向「……もしもし?」
ハクエン『おぉ。珍しいな、お主から電話をかけてくるとは』
小向「小道はそばにいる?」
ハクエン『いや?いないが。呼んでくるか?』
小向「ううん。いなくてむしろ好都合よ! ハクエン、あんた昔の言葉分かるわよね?千年以上生きてるものね?!」
ハクエン『あぁ……そらもちろん千年生きてきたが……』
小向「なら、今から聞こえてくる祝詞を唱えて……!」
ハクエン『はぁ!!? な、何じゃ突然!!』
小向「いいから時間がないの!! 私があなたの代わりにこの場で精気を高めておくから、代わりにあなたが祝詞を唱えて!!」
ハクエン『切羽詰まっておることは分かった。それならば仕方ない。頼む!』
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/17 (Thu) 21:55:43
女王「謌代i縺悟、ァ蝨ー繧貞ョ郁ュキ縺吶k逾槭h縲よ繧峨?螢ー縺ォ蠢懊∴縺溘∪縺医よ繧峨?鬲ゅ↓蜻シ蠢懊@縺ヲ縺薙?雎願即蜴溘?蝨ー縺ォ蜷幄?縺励◆縺セ縺医」
ハクエン『謌代i縺悟、ァ蝨ー繧貞ョ郁ュキ縺吶k逾槭h縲よ繧峨?螢ー縺ォ蠢懊∴縺溘∪縺医よ繧峨?鬲ゅ↓蜻シ蠢懊@縺ヲ縺薙?雎願即蜴溘?蝨ー縺ォ蜷幄?縺励◆縺セ縺医』
女王「素晴らしい。二人分の祝詞の力に、コナタさんの強い精気……。この力さえあれば――――」
ハクエン(無事に読めたが…なんじゃこの古臭い祝詞は……。こんなもので呼べるものなど、国生み前後の国津神かその末裔くらいじゃ―――)
神【――――我を呼んだか】
ハクエン(……!?)ゾワッ
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/21 (Mon) 22:07:10
神【……ほう……中々の瘴気を放っておるな】
神【堅洲のものの雰囲気を持っておる。気に入らんな】
悪魔「な……!?」
神【この程度のものが倒せなくて我を呼んだのか。ダークエルフも堕ちたものよ】
神【我に跪け。さすれば苦めずに堅洲へ送ってやろう】
悪魔「ふざけるな……!悪魔が命乞いなどするわけがないだろう」
神【そうか。なら仕方ない。全て滅ぼしてやろう――――】
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/21 (Mon) 22:27:57
【戦闘はあまりにも一方的であった】
神【ふん……。少しは骨があるかと思ったが】
神【ぬるい…。ぬるすぎる】
ベラ「こ……これが神の力ですか……!」
小向「ヤバいわね……さっきから背筋が寒くてたまらないもの」
ベラ「で、ですがこれであの悪魔は消滅しt―――」
マリー「ハハハハハ!! 甘いわね!!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/21 (Mon) 22:42:34
ベラ「な……ど、どういうことですか!?」
小向「なんであの悪魔が何人も―――」
マリー「そもそもこの悪魔は、私の生み出した概念に他ならないわ」
マリー「姿や形はあってないようなもの―――!!」
神【なるほど……少しは面白いものがいるではないか―――】
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/23 (Wed) 21:23:45
※※戦いは混迷を極めた※※
神【小賢しいーーー氏神にも満たぬ劣った分際で、我に何を逆らうか】
小向「まずいわ……いい加減に止めがさせないと、いくら神とは言えじり貧になっていくわ!」
ベラ「第一、どうしてあの者は悪魔をあそこまで何度も召喚できるのでしょうか!?」
小向「確かにね。それもおかしいわ。私たちが神を召喚するのでさえ、2人分の祝詞と精気が必要だったのよね」
小向(何かあの女の中に秘密があるってことよね)
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/24 (Thu) 22:35:46
小向「よしっ!仕掛けるわよ!」
ベラ「どうされるのです!?」
小向「ふふっ。見てなさい!」
小向(集中よ……。集中………。)
小向(神が近くにいるから中々探りづらいけど、ちゃんと女王の精気もベラの精気も感じられる……。そして悪魔たちも一体ごとに邪気があるわ……)
小向(まさかどれもコピーに過ぎないのかと思っていたけれど、普通に本体ね。どれも『本物の悪魔』だわ)
小向(ということはこれは、『悪魔の力を現世に落としてきた概念みたいなもの』と考えた方が良いってこと……?)
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/26 (Sat) 23:06:09
ハクエン(主の母よ。一体何と戦っておるのじゃ……? あの背筋が凍りつくような感覚……氏神ではない……本物の神を召喚しおった……)
小道「おいハクエン。どうした?そんな険しい顔をして」
ハクエン「お主は感じぬか?かなり遠くじゃが、ものすごい力が降りてきておる……」
小道「あぁ。ずっと感じてる。だがこれは……明らかに日本じゃない。もっと東の……アメリカとかじゃないか?」
ハクエン「そうじゃな」
小道「なら、母上が気づいていないはずがない。そして、母上なら大丈夫だ」
ハクエン「それならよいのじゃが……」
小道(母上なら大丈夫………。そうですよね?)
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/27 (Sun) 22:39:17
小向(例えば、私たちが神を召喚したように、神様本体をそのまま現世に呼んでいるのと違って、『悪魔の概念』を出してるのだとしたら、呼び出すための入り口のようなものがあるはずだわ)
小向(依り代とでもいうべき、いつでも悪魔が出てくる魔法のポケットみたいなものが、どこかにあるはず……!)
小向(さっきからそれを探してるのに全然見つけられない……! 悪魔たちの力が邪魔をして本体にたどり着けない!)
小向(私たち笠原家の力が及ばないっての?! そんなことがあって貯まるものですか! 絶対に見つけ出すわ……!!)
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/08/31 (Thu) 21:56:18
ハクエン「のぅ、主。主は依り代って分かるか?」
小道「あぁ。聞いたことはあるぞ。霊や神がこの世界で存在するために、物に宿ることがある。その『物』のことだろう?」
ハクエン「そうじゃ。大体そんな考え方であっておるだろう。主に憑いておる小弥も、元は人形を依り代にしておったな。だがそれ以外にも『堅洲や黄泉からこの世を覗く穴としての役割を持つ依り代』があることを知っておるか?」
小道「堅洲や黄泉って……ようはあの世ってことだろう? そんなことがあるのか?」
ハクエン「あるぞ。前に主とザヨウガンで別の世界に飛ばされたことがあったじゃろう。あれと似たようなものじゃ。別世界へ通るほどではなくとも、監視するための『抜け穴』がある。それが依り代じゃ」
小道「そうなのか。確かあっちの世界の人間には『エーテル』と呼ばれていたが……。依り代にはそんな役割もあるのか……。ところで急にどうしてそんな話を?」
ハクエン「もし、その依り代から見ておる悪魔が、氏神や妖怪程度の力なら良いが……。仮に神ほどの力があったとすれば……」
小道「……母上がまさかそんな戦いに首を突っ込んでると言いたいのか?」
ハクエン「そうだとすれば、まずいのう」
小道「母上なら大丈夫……。いや、心配だ!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/02 (Sat) 22:57:11
小道「母上が危ないのならすぐに助けにいかなければ!」
ハクエン「無理じゃろ!もしも小向が対峙しておるとしたら海外じゃ!ここから向かうとなれば時間がかかりすぎる!」
小道「確かにそうだが!でも黙ってここにいるわけにも!」
ハクエン(なるほどのぅ。小向は小道が助けに来ると言い出すと分かって庇うつもりで……。じゃが、もしお前に何かあればそれこそ小道は自ら背負い込むぞ……。)
ハクエン「親の心子知らず、子の心親知らずとは、人も上手く言ったものじゃな」
小道「何を言ってる? 今から急いで空港に行くぞ!」
ハクエン「そんなバカなことをしなくてもよい。向こうが依り代を使っておるのだ。こちらも依り代を使うまでよ!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/04 (Mon) 21:34:39
――――prrrr
――――prrrr
小向「ん~!もう何よ…!!って、ハクエンからだわ」
小向「もう今忙しいのよ!!何!?」
ハクエン『今から精気を高められるだけ高めておけよ』
小向「は? どういう意味よ!?」
ハクエン『縺昴▲縺。縺ォ蟷ス髴翫r荳?蛹ケ騾√j縺セ縺吶?ゅ→縺ヲ繧ょシキ縺??縺ァ縺ゥ縺?°菴ソ縺」縺ヲ繧?▲縺ヲ縺上□縺輔>縲』
小向「…!? な、何……!!?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/04 (Mon) 21:44:22
小弥「うわぁ!!? こ、ここはどこ!?」
小向「あ…あなたは確か小道に憑いてる!?」
小弥「ぬっ!? 貴女はどことなく姉上に雰囲気が似ているが……」
小向「私は小道の母親よ!あなたの遠い子孫の1人ね」
小弥「はぁ!? なぜ私がこんなところに!?」
ハクエン『今このスマートフォンを依り代にして、小弥をそっちに送った!』
小弥「なんてことをしてくれるのよ!?ここはどこよ!?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/05 (Tue) 21:39:59
ハクエン『ちなみにこちらで我の妖気と、主の精気を同時に送り込んだから、今はお主も精気だけなら姉と同じほどあるはずじゃ』
小弥「あ……姉上ほど……だと……?」
小向「確かに、普通の憑霊とは違う感じね…。どちらかというと守護神に近いかも……」
小弥(私が守護神……!!?)
小弥「ふ……ふん! 突然こんなところに連れてこられて気が進まんが、一体どうすればよい!?」
ハクエン(こやつ、やっぱりちょろいの…)
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/07 (Thu) 21:48:42
小向「じゃあ、今からこの悪魔たちの中で一番邪気が強いのを探してほしいの」
小弥「なんじゃ…この鬼どもの数々は…!」
小向「守護神様がこんなところで怯えてる暇はないわ。一気に肩をつけたいの。協力して一番強い邪気を持つものを探すの。じゃないと」
小弥「じゃないと……?」
小向「……あの神様もお怒りになってるわ」
神【……小賢しい小賢しい!! 人間どもめ心底飽き飽きしたぞ……!!! もう許さん! この土地ごと消し去ってくれる……!!!】
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/08 (Fri) 22:37:47
小向(全く。神を呼び起こして怒らせたりなんてしたら、下手をすれば天変地異を起こされかねないわ……)
小弥「………見つけたぞ………! あれだ………!!!」
小向「やったわね!!お手柄よ!!!」
神【我が依り代でもあり、天津神から授かりしこの剣でこの土地を不毛の土地へと変えてくれるわ】
小向「女王様お願い!!神の怒りを鎮めてあげて……!!」
小向「この悪魔どもは、今すぐ一撃をくらわしてやるわ……!!」
小向「いっけぇえええええ!!!」バヒュゥゥゥゥンッ
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/09 (Sat) 22:17:05
マリー「なっ……!!?」バリーン
小向「その胸についている花は、契約の証でもあったのね……!!」
マリー「くっ!! 小癪な……!!」
ベラ「もう観念しろ……!! 我々ダークエルフはお前たちの要求には従わない……!」
マリー「くっ……!!!」
小向「べ、ベラ危ない!! そこから離れて……!!!」
ベラ「……?」
神【数千年前……。大陸を一度海へ沈めたこの剣の恐ろしさを味わわせてくれる……!!】
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/09 (Sat) 22:26:39
小向「じょ、女王様……!!」
女王「だ、ダメです!! もう完全に怒りに染まり切ってしまっております……。もはや我々ではどうすることもできません……」
小向「そんな……!! このままではベラが……!」
小弥「…私、行ってくる……」
小向「……小弥……!?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/12 (Tue) 21:56:11
神【……今度は前のようにはいかぬ……。次は人間を消滅させてやろう……!!】
小弥?【……神よ……!! この豊葦原の地を治めし大御国津神よ】
小向(小弥……!? いや違う……うっすらと見える……彼女は……?)
小弥?【……貴女は高天原にて生まれし、高貴なる神であるようにお見受けします。そのような方がどうしてこのような場所で怒っておられるのか】
神【お主こそ、突然目の前に出て来よって、何者じゃ?】
小弥?【我は天孫悟空命様の治めし国の氏神です。名は『平朝臣笠原吉瀬長小葉』と申します】
神【氏神か……。しかしこの国の者ではないとな。どういうつもりだ?】
小葉【この土地の危機に際してやってきたのです。今しがたの鬼どもに苦しめられておりました】
神【そういうことだったか。それで私をこの地へ下ろしたと。下ろしたものはどれじゃ?】
小葉【あのダークエルフです。ダークエルフの女王が貴女を召喚させたのです】
神【そうであったか。ダークエルフ……。懐かしい響きよ。最近は名を聞いておらんかったが、まだ生きておったのだな】
小葉【……そろそろお休みになった方がよろしいでしょう。再びダークエルフどもが、貴女をしっかりと奉り賜ります】
神【あぁそうしてくれ。そうでなくては、また雷叢雲剣が汚れてしまう】
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/15 (Fri) 22:58:51
小向「今よ。再び祝詞を唱えて!」
姫「はい! 謌代i縺悟、ァ蝨ー繧貞ョ郁ュキ縺吶k逾槭h縲よ繧峨?螢ー縺ォ蠢懊∴縺溘∪縺医よ繧峨?鬲ゅ↓蜻シ蠢懊@縺ヲ縺薙?雎願即蜴溘?蝨ー縺ォ蜷幄?縺励◆縺セ縺医」
神【次に我を呼び覚ますようなことがあれば、次こそはこの地を海の底に沈めてくれるぞ―――】
小向「物騒な話ね…」
ベラ「神の言うことですから…」
小向「そんなことより…。これでもうチェックメイトよ!悪党さん!」
マリー「くっ……!! だがしかし、そんなわけにはいかない事情もあるんだなぁ!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/16 (Sat) 16:52:20
小向「……はぁ?」
マリー「この街の奥にあった古い教会に『汚いレイピア』が落ちてたのよ。ただこれからものすごいエネルギーがあるみたいなのよ」
女王「『汚いレイピア』…!?」
ベラ「そ……それってもしかして……!?」
マリー「ただし我々人間にはどうもそのエネルギーのコントロールが上手くいかなくてね。だからこそダークエルフたちの力を借りるために『森の聖水』が必要だたのだけれど。もう知らない」
小向「あんた! 勝手なことばかり言ってるんじゃないわよ!!」
マリー「勝手とは随分な言い草ね。でも本来元々この土地は私たちが正式に買ったものよ。そしてそこに落ちてたレイピアだって誰のものか分からない落とし物に過ぎないわ」
マリー「いくらこれに神秘的な力が宿っていて、この土地もダークエルフたちが代々守ってきたとしても! 現在の人間社会においては契約が絶対なのよ!!」
小向「私たちに力で勝てないと分かった途端、権利主張で抵抗しようっていうのね……」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/16 (Sat) 16:58:45
小向「……分かった。とりあえずここから先は人間の話ね。先にその汚いレイピアについてどうにかしに行きましょう」
ベラ「こいつはいいのですか?」
小向「……勝手にしなさいよ。というか、悪魔に魂を売った人間が、このまま済むとは思えないけどね」
小葉【そうだな……、こいつからは邪悪な気が伝わってくる】
小向「……できる限り苦しまないようにしてあげてね」
小葉【……悪魔に魂すら売ったものは畜生にも劣る……。そんなものに慈悲は要らぬ】
小向「……私では止められないわ。好きにして」
マリー「ひぃっ――――」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/21 (Thu) 23:01:58
【小休憩】
笠原小梅(かさはら こうめ)
笠原小道の先祖。明治維新が起こり、下級武士だった笠原家はほぼ仕事を失ったに等しかったため、都会に奉公に出るようになった。絹糸を生産する工場で働きながら退魔師を行っていた。1人の男子と2人の女子を生んだが、大きく揺れ動く時代の波に肌が合わなかったのか、若くして亡くなった。なおこの世代から帯刀ができなくなったため、「精気で刀を作る術」が編み出された。
幸が薄そうな工場への奉公少女。退魔師としての腕は並みだったようで、ハクエンもあまり覚えてはいない様子。
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/23 (Sat) 21:49:42
小葉【全く……。悪魔に身を売るとは一体何を考えておるのだ……】
小向「ありがとうございます。えっと……」
小葉【我が名は『笠原小葉』で問題ない。人間だったころの真名だ】
小向「人間だったころっていうと…?」
小葉【私は笠原一族の氏神だ。誰から始めたかは知らぬが、いつの間にか神へと崇められていた】
小向「そうだったのね…。でもどの神社で祀られているとか、そんな話聞いたこともないわ…」
小葉【我には依り代がないからな。祀られる対象の物が存在せぬのだ。だから社も祠も建てられない】
小向「そうなのね。だったら、貴女はどういう経緯でここに呼び出されたの? 私たちは日本からスマホを依り代にして小弥を召喚したはずだったわ」
小葉【簡単だ。私は小弥の姉。小弥が守護霊として小道に憑いていることは知っている。小弥が我を強く想ったからこそ我が現れた】
小向「…それじゃあ小弥は?」
小葉【安心しろ。すでに小道のもとに戻っておるだろう】
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/25 (Mon) 21:27:04
小向「とりあえず、『汚いレイピア』を探さないと。囚われている外のダークエルフたちは女王に任せましょう」
ベラ「はい! 恐らく『汚いレイピア』は豊広観眼命(とよひろのみまなのみこと)の依り代、雷叢雲剣(いかづちのむらくものつるぎ)のことだと思います」
小向「その名前はさっきの神様の名前ね?」
ベラ「はい。この世界が生まれる前から存在されている神様です」
小向「そ、そんなすごい神様を召喚していたの!?」
小葉「あぁ。なんせこのダークエルフたちは本来彼ら大御国津神(おおみくにつかみ)を祀る一族と言っても過言ではない」
ベラ「我々も普段は大御国津神様と呼ぶことの方が多いですね」
小向「そんなすごい神様を召喚しないと倒せないとかあいつら何者よ……」
小葉「それだ。あいつらは一体何者だ。我が屠ったあいつ自身は、悪魔崇拝をした人間に過ぎない。そもそもなぜあの力の悪魔がこの者たちに力を貸したのか、というところだ」
ベラ「……それは恐らく、この街の成り立ちと関係しているでしょうね」
小向「訳アリなのね。詳しく聞くわ」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/27 (Wed) 21:51:17
ベラ「元々この大きな大陸は、わずかな人間とそれ以外にも数多くの生き物が住んでいました。我々ダークエルフやエルフなども今よりうんとたくさん住んでいて、人間や他の生き物たちとも仲良くやっていました」
ベラ「あるときは豊広観眼命がいらっしゃって、大地にたくさんの恵みをくださりました。どこか遠くの島国ではそれに感激した人たちが、あの方の顔を模した石像を至るところに作ったとも聞きました」
小向(神様の顔の石像……? すごいわね)
ベラ「ところがあるとき、東の海からたくさんの人間たちがやってきました。彼らは武器で、そこにいる人間や動物たちを○したり、建物を壊したりして、自分達の物にしました」
小向「新世界進出の話……?」
ベラ「彼らはやがてこの大陸に住み着き、ものすごい勢いで数を増やしていきました。彼らの元には、とある強力な神様もいらっしゃったので」
小葉「…上帝と呼ばれることもある神様だな。我の国でも隠れて信仰していたやつらがいたな」
ベラ「彼らに押されて、我々はどんどん住む場所を狭められていきました。ほとんど人が踏み入れないような山奥や谷と谷の間。洞窟の中に隠れ住むものたちもいます」
小葉「今の日本にいる妖怪たちと変わらないな」
小向「ダークエルフを妖怪と同じ扱いにするのはどうなのよ……」
Re: 退魔師笠原さん!③ - PPD
2023/09/27 (Wed) 22:17:52
ベラ「ところが、我々が住んだところというのは不幸にも人間たちにとっても都合がいいところでした。いつの間にか人間たちは続々とここに街を作りはじめて、やがて炭鉱の街になりました」
ベラ「もちろん我々ダークエルフは抵抗し、ここを守ろうとしました。ここは元々自然もわずかしかないようなしがない土地でしたから。そんなところまで奪われたらとうとう我々ダークエルフも路頭に迷ってしまう……。
ですが我々にも意地がありました。それこそが雷叢雲剣です。天を突けば雷雨が土地を押し流し、海を突けば波が全てを飲み込み、地に突き立てればそこから地の底まで割れていく……。そんな伝説を持つ剣でした。これをどんなものにも渡さずに守り抜くことが、我々の意地だったのです」
小向「何よその恐ろしい剣は……」
小葉「伝説だから真偽は怪しいが、そういった『聖なるものを守る』というのはよくある話だ。日本にだってそういった例はいくらでもある」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/09/29 (Fri) 23:03:38
ベラ「しかし人間たちはめざとく我々を見つけました。我々との戦争も起こしました。しかし彼らはとても強かった。彼らを加護している神様の力が、我々本来の力を凌駕していた」
小葉「こういうのは大体、ダークエルフのような聖なる力に守られているものの方が強いのが鉄板だがな……。意外にもここを攻めた者たちは殊勝な者たちだったんだな」
ベラ「我々は全てを失い、もちろん雷叢雲剣も奪われました。ですが人間の手に渡ったそのとき、その剣はボロボロになってしまいました」
小向「どうしてそんなことに?」
小葉「当然だ。雷叢雲剣は豊広観眼命の依り代だった。しかしそれを手にした人間たちは豊広観眼命のことを知らない。上帝の信者だった彼らにとってはただの朽ちた剣にしか見えなかっただろう」
ベラ「そして我々は剣を失い、力を失い、やがて炭鉱の働き手になっていました。彼らは我々を奴隷のように扱い、やがて我々の仲間も疲弊していきました」
ベラ「そしていつしか炭鉱としての役割も失ったこの街は捨てられ、ただただ疲弊した我々だけが残ったというわけです」
ベラ「我々は何とか雷叢雲剣の復興を目指して何年も祈りを続けてきましたが……。あの人間たちに再び奪われたのです」
ベラ「彼らもまた、かつて私たちを倒した連中たちと同様に強かった。ですが、上帝を信じた彼らとはまた異質の強さでした」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/09/30 (Sat) 22:21:20
ベラ「そして、彼らにとってはこの朽ちた剣もまた利用価値があったようでした」
小葉「国津神の依り代だ……黄泉から豊葦原にやってくるための門のようなものだ……」
小向「さっき私たちが小弥を使ってしたことを、あいつらもするつもりだったってこと!?」
ベラ「そういうことです。しかし、あそこまで朽ちた剣です。依り代としての力も遥かに弱くなっています。現に女王様が渾身の祝詞を唱えてやっと降臨されたほどです」
小葉「あの依り代を復活させるような何かを、あの人間どもが持っている可能性があるってことか」
ベラ「はい。もしそうなれば、下手をすれば雷叢雲剣の力自体も復活してしまいます」
小葉「そちらはどうかは分からんが……何にせよ依り代として利用されるのはまずいな」
ベラ「はい。だから止めなければいけません」
小向「よし。1度さっきのところに戻って、あのローズをもう一度問い詰めるわよ!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/02 (Mon) 21:47:00
小向「そういえばキャシー、このあたりの土地の契約ってどういう形になってるのか調べられない?」
キャシー「えっ!? そ、そうね! 調べてみる価値はありそう……!!」
小向「彼女たちの色んな情報が分かるかもしれないわ」
キャシー「分かったわ。頑張って調べてみる」
小向「私はベラと一緒に、ローズにもう一度交渉してみるわ」
キャシー「交渉っていうか、殴り込みでしょう?」
小向「そうともいうわね。でも悪魔契約にしたやつに慈悲は要らないって言ったのは、私の後ろに憑いている守護神様だからね」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/04 (Wed) 22:15:24
小向「ローズ……!! 色々とあなたの知ってることを吐いてもらいましょうか!!?」
ローズ「おう名探偵。帰ってきたのか。ということは、マリーは○んだか」
小向「……仲間が○されたってのに、随分余裕そうね」
ローズ「Oh!マジで○したのか。お前見かけによらず中々やることやっちまうんだな」
小向「ふざけないで。今からでもそのにやけた顔を絶望に変えてやってもいいのよ」
ローズ「俺を○したところで、お前たちが解かないといけない謎は解けないんじゃないのか?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/04 (Wed) 22:30:20
小向「……。もう一度聞くわ。あなたたちは何者? 悪魔と契約を結んだ、ただの悪魔崇拝者ではないわよね?」
ローズ「どうしてそう思った?」
小向「『森の聖水』を欲していることと、『雷叢雲剣』があなたたちの手の中にあるっていうことね」
ローズ「どっちも貴重な品物だ。古いものは高く売れる。バカな骨董品好きにでも吹っ掛ければ何百万ドルって桁で買ってくれるさ」
小向「森の聖水はダークエルフが作らなければ手に入れることはできない。雷叢雲剣は見かけ上はただの朽ちたレイピア―――。そんなものに大金をつぎ込む物好きがいるかはさておいて。どっちも悪魔崇拝者の立場なら邪教そのものだからよ」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/05 (Thu) 22:31:40
小向「ダークエルフの姫は今でも豊広観眼命を召喚できるほどの大きな力を持った巫女と言ってもいいわ。そして雷叢雲剣はその御柱の依り代でもある。これを知っているほど信心深い人間ってそうはいないのよ。この国で」
ローズ「お前は日本人だろう。お前ごときにこの国を語られたら終わりだな」
小向「そうね……。でもこれはダークエルフから聞いた事実よ? そもそもこの国では、豊広観眼命を信仰している人々は少ない。 信仰心はその神様の力となるわ。 この国では半分以上の人が別の神様を信じている。 だからこそ、雷叢雲剣の力がとても弱い」
ローズ「そうだな。豊広観眼命なんて名前を聞いたことがある人間もほとんどいないだろうな」
小向「だからこそおかしいのよ。悪魔崇拝者だったとしても、上帝崇拝者だったとしても。雷叢雲剣に執着するのは…!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/06 (Fri) 22:09:51
ローズ「お前は、雷叢雲剣の伝説は知ってるか?」
小向「…知ってるわ。天変地異を起こす力があるってさっきベラが言ってたわ」
ローズ「そうだ。それを聞いてばかばかしいって思っただろう? 『剣で天変地異なぞ起こせてたまるか』って」
小向「普通の剣なら到底信じられないわね。神様の依り代の剣であれば可能かどうかも正直わからないわ」
ローズ「そうか。さすがはエクソシスト。どこにでもにいるリアリストどもとはわけが違うな。そもそもその剣の力はな…試されているんだよ」
小向「試されてる……?」
ローズ「あぁそうだ。ノアの箱舟の話、お前は聞いたことあるか?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/09 (Mon) 22:26:22
ローズ「怠惰な人間に怒った神が、人間たちを洪水ごときれいさっぱり押し流そうとして放った大洪水から、世界中の生き物と人間を守ったという聖人の話だ。上帝信者の本に載っている昔話だな」
小向「聞いたことあるわ。私はその宗教を信じてるわけなじゃないけど、西洋の昔話とかで聞いたことあるわ」
ローズ「…実は神は、怠惰な人間に怒ったわけじゃないとしたら、その話を信じるか?」
小向「はあ……!?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/11 (Wed) 21:53:58
ローズ「実際に大陸の形を変えてしまうほどの大きな大洪水が起こった記録ってのが残ってるんだ。その時代、ちょうど人間が猿からヒトへと進化をしている時期だった」
小向「急に科学的な話になったわね」
ローズ「科学と宗教は昔からつながった学問だったはずだぜ? そこで俺はある結論に至ったわけだ。『もしかするとヒトという生き物が何らかの都合が悪く、消滅させようとした者がいた』んじゃないかってな」
小向「さすがにそんな陰謀論的な話―――」
ローズ「そうだ。ここまでだったらただのクオリティの低い陰謀論だ。ところが、ある日マリーゴールドと出会った」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/11 (Wed) 22:00:42
ローズ「あいつは根っからの悪魔崇拝者だ。怪しげな会合で出会ったんだが、俺はふと運命を感じてしまった。俺は全て喋ったさ。低質な陰謀論をな。だがマリーは、『私の悪魔と話をしてみたらいい』というんだ」
小向「……そこで悪魔と話をしたのね……? そしてなんて言われたのよ?」
ローズ「―――”Exactly”だとよ。俺の陰謀論がまさかの世界の真実だったんだ」
小向「どういうことよ…?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/11 (Wed) 22:13:23
ローズ「『この世界は一度大洪水でリセットされている。だが人間はしぶとく生き延びて、世界中に散らばっていった』とかいう俺の妄想が真実だと聞かされた。そしてそれに使われた武器の名前が『雷叢雲剣』だとも聞かされた」
小向「貴女、悪魔なんかが言うよく分からない話をまともに信じたってわけ?」
ローズ「そうだな。それまでだったら俺が単に何か狂ってただけだったかも知れねぇ。だがそのあと悪魔に唆されるようにしてやってきたのがここだ。ここには『ダークエルフ』『森の聖水』『雷叢雲剣』全てが揃っていた。この剣が復活を果たせば、この世界を掌握できる。俺は、そう考えるようになった」
小向「バカね。悪魔にホイホイ着いていってそのままあの世行きだったらどうするつもりだったのよ」
ローズ「それはそれで一興さ。それに、悪魔は契約に従う。俺は悪魔に『雷叢雲剣の復活』を契約に入れた。もしそれができれば俺の体を好きに使っていいってな。だが、悪魔とそれに崇拝する1番のバカはお前に消されたわけだ。俺はもうただの悪魔崇拝者じゃねーんだよ」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/12 (Thu) 22:10:46
小向「なるほど。整理すると貴女たちの企みは『雷叢雲剣』の復活ってことね」
ローズ「あぁそうだ」
小向「でも。『森の聖水』はダークエルフにしか作れないわ。そしてそのダークエルフたちは私たちが解放済み。それに残念ながら、豊広観眼命の力は弱い。依り代の剣だって力が無いに等しいわ。手詰まりじゃないかしら?」
ローズ「くくくくっ。そうだな。普通ならここでジ・エンドってところだ。だが俺たちには悪魔崇拝だけじゃない。科学力だって持ち合わせているんだ」
小向「どういうことよ」
ローズ「ついさっき『完成した』と連絡を受けたんだ。俺たちの最後のパートナー、ルパインからな」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/12 (Thu) 22:29:42
【外】
ローズ「きたきた。ルパインのおでましだ」
小向「……」
ルパイン「ローズ、ようやくできたよ。ん?なんだこいつらは?」
ローズ「俺たちの壮大なプロジェクトの見届け人だ」
小向「違うわ。お前たちの悪事を全て無に返すのよ」
ルパイン「……ふーん。でも、それは無理じゃないかな」
ルパイン「君たちは『これ』を見て何か感じることはできるかな?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/13 (Fri) 21:41:02
小向「左に持っているのは……それが『雷叢雲剣』ね!右に持ってるのは……?」
ルパイン「これは、そうだね。名前はつけてなかったが『悪魔のゆりかご』とでも命名しておこうか……」
小向「『悪魔のゆりかご』……? そんな小さなキューブで何ができr……」ゾクッ
小向(な……なによあれ………)
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/13 (Fri) 21:57:04
小向「ち、ちょっと!? そのキューブの中に何が入ってるのよ!? 悪魔……いや……そんなちゃちなものじゃない……おぞましいものが入ってるわ……!!」
ルパイン「凄いじゃないか。これに気づくことができるとは。エクソシストか何かか? だが、気づいたからと言ってどうすることもできないだろう?」
小向「どうしてこんな恐ろしいものが存在しているの……? というか、あの禍々しい雰囲気……一体どういうわけで……」
ルパイン「お前はアジア人だな。なら、『蠱毒』を知ってるだろう?」
小向「こ、蠱毒……まさか貴女たち、それに手を出して……」
ルパイン「半分正解、だな」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/13 (Fri) 22:24:40
小向(半分………? 確かに蠱毒っていうのは、百種類近い生き物を1つの壺に入れて共食いさせて、その中で唯一生き残った動物を使って作る呪物……。別にその入れ物自体には何ら危険な要素はないはず……それなのにこの危険な感じは……)
小向「何の生き物を蠱毒にしたの……?」
ローズ「気づいたようだな。こいつの正体に……!」
ルパイン「蛇や蛙、蛆を放り込み作り出す蠱毒というアジア古来の呪物に昔から興味があってね。だがしかしできるのはしょせんその動物の毒素たちが集まりあった混合物でしかない。もちろん危険ではあるが……その程度だ。しかし、僕は気づいたんだよ。もっと恐ろしいものを蠱毒にする術をね……!」
小向「まさか……」
ローズ「そうさ。『人間』を蠱毒にできたら、すごいと思わないか……?」
小向「貴女たち……堕ちるところまで堕ちたわね……!!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/13 (Fri) 22:33:26
ルパイン「おっと? 勘違いしてもらっちゃ困るな。僕たちは別に人間を拐って共食いをさせたりしたわけじゃない。そんなものは気持ち悪くて見たくもないからな」
小向「………」
ルパイン「それにわざわざ拐うなんて効率も悪いし、何より足がつく。そんなバカな手段は取らないよ」
ルパイン「その代わり、いくらでも同じ人間を作り出す術を僕らは確立させたのさ」
小向「そんな方法……どうやって……」
ルパイン「お前はエクソシストなのだろうが、おそらくサイエンティストじゃないな。これにはさすがに気づかないか。『ヒトクローン』だよ」
小向「!?」
ルパイン「ローズの体細胞を使って何百というローズのクローン胚の未成熟体をここに閉じ込めてある」
ローズ「本当に気持ちの悪いことをしやがる。だがその分、呪いとしての力は普通の蠱毒など足下にも及ばない!!最強の兵器の完成だ!!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/13 (Fri) 22:38:38
小向「ヒトのクローンを使って、蠱毒をやった……ですって………?」
小向(そもそも蠱毒というのは共食いによって食べられてしまった生き物たちの苦痛と、その生き物たちの本来の毒性によって作り出される呪物……。中華文化圏で広く伝わるとても恐ろしいもの……。そして……)
小向(クローンとはいえヒトを同じところに閉じ込めて……共食いをさせる……? 野蛮なんて領域じゃない……というかこれって……そうじゃない。赤ちゃんの◯体や人間の体の一部を血で満たして箱に詰める日本の呪い……コトリバコと同じじゃない………)
小向(つまりあのキューブの呪いは……蠱毒とコトリバコのキメラってこと……!?)
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/13 (Fri) 22:50:01
小向「分かったわ。そのキューブ……『悪魔のゆりかご』だったかしら? その正体は『蠱毒とコトリバコを合わせたキメラ』ね? そんな残酷なことがどうしてできるのかしら? 貴女たちに人の心とかないの?!」
ルパイン「すごいね。さすがだよ。正解だ。ちなみに僕たちはもう既に『ヒト』なんて低俗な階級より遥かに上にいるんだ。この『悪魔のゆりかご』を使い、特大の呪詛を雷叢雲剣に流し込む。そうすればさすがの神も眠りから覚めるはずだ。そしてこの剣の力は我々のものとなる……!!」
小向「恐ろしいなんてものじゃないわ……。こんなの前代未聞よ……!!」
ルパイン「そうだろうな。この雷叢雲剣が本性を表したとき、その力は原子力爆弾などですら遠く及ばない。史上最強の兵器が完成するのさ!!」
小向「やめなさい!!」
ローズ「させるかよぉ!!」スチャッ!!
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/14 (Sat) 21:49:47
小向「ぐっ!!そんなことしてみなさい!!世界の均衡が崩れるなんてものじゃないわ!!あんたたち、全員国津神の敵になるわ!!」
ルパイン「そんなこと知るものか。そもそもこの剣は天津神が、ノアの大洪水を起こすために作ったもの。つまりこの剣自体は天津神級の力があるのさ。国津神などお呼びじゃない!」
小向「あんたら………本当にヒトとして大事な何かが欠落してるみたいね……!! 同じ言葉を喋ってるのに、言葉が全然通じないわ!」
ルパイン「ヒト同士はIQが20以上差があると話が通じなくなるって言うじゃないか。それはヒトと神においても同じさ。神にヒトの論理など通用しないんだ。お前たちヒトと、僕たち神では、話が通じるわけがない」
小向「……思い上がるのも大概にしなさいよ……!!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/14 (Sat) 22:07:47
ルパイン「そこでいくらでも吠え面をかいて見ているがいいさ。新たなる神の誕生の瞬間をね!」カチャッ!!
小向「くっ!!」
ベラ「コ、コナタさん……ごめんなさい……。さっきから、私、体が全く動かなくて……」
小向「仕方ないわ。ダークエルフは私たちヒトより遥かに呪詛に敏感なんだもの……。安心して、絶対にあいつらの言う通りになんてさせない……」
ルパイン「くくくくく!!力が溢れる!!湧き出す!!これが呪詛の力か……!!!ひゃはははははははははははひひひひひひ!!!!!」
ローズ「な……なんだか様子が……!?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/14 (Sat) 22:27:13
ルパイン「ひひひひひひひゃははははははぁ!!!」
ローズ「なんだか様子が変だが、それでもいい!よしさっそく雷叢雲剣の力を試してやれ!!」
ルパイン「なんだぁ……? 貴様誰に向かって命令している……」
ローズ「はぉ!? ぐっ!! ぐううううぅぅぅぅぅぅうううう!!!?!!?」
ルパイン「さっきも言っただろう? 僕は神になったんだ。天津神に勝るとも劣らない立派な現人神にね」
ローズ「や、やべろ………!!ぐっぐええぇぇえええええっ!!!」
ルパイン「それに、僕の力はそもそも君のクローンから出来てるんだ。つまり『君の完全上位互換』だ。君が僕の下僕になるならいざ知らず僕に対して命令するなんて……どういうつもりだ……?」
ローズ「ぐげええええぇぇぇえ!!!わ、わがっだっ!!わがっだがらっ、ぐ、ぐるじ!!」
ルパイン「分かった?当たり前だ。貴様の身体に反射で覚えさせるまでやってやるよ。だが、お前に価値が見出だせないな」
ローズ「ぐっ、げほっ!!がはっ!!」
ルパイン「そうだな。僕の一部になることを認めてやる。貴様も嬉しいだろう?」
ローズ「い、いちぶ……!?」
ルパイン「そうだ。クローンだけで作った蠱毒……そこにオリジナルが混ざったらどうなるのか……試してみたい」
ローズ「やめろ!やめろやめろやめろ!!やめでぐれええええええええええ!!!!!!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/14 (Sat) 22:53:23
ローズ「ぐはっ!!はぁっ!!はぁっ!!」
ベラ「こ、コナタさん!なんでこんなやつを助けて……」
小向「……ぐっ!なんて恐ろしい……!!」
小向「ベラ、少しでも体は動く……?」
ベラ「む、無理です………小向さん………私、もう、あの方に目を合わせるだけで、背筋が凍りついて、まるで金縛りのようになってしまいます……」
小向「くっ……!わかったわ!そこでローズを守ってて!!」
ベラ「は、はい!」
ルパイン「この体にまだ力が馴染みきっていないが、剣の力をほんの少しでも味わうには良い機会だろう。だが、伝承というのは『伝える者』がいなければ成立しない」
ルパイン「お前たちのうち1匹は後でこの現人神の語り部にでもなってもらおうか」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/14 (Sat) 23:00:51
小向(落ち着け………!!落ち着くのよ小向……!!こんなときこそ冷静に……!!相手は確かに今まで相手してきた相手のなかでもとびっきりに強くて恐ろしい相手………!!でもこれまでだって笠原家の誇りを持って戦ってきたじゃない……!!)
小葉(同感だ……小向……!)
小向(こ、小葉……!!どうして?!)
小葉(細かい理屈を今は喋っているときじゃない。あのバケモノを倒す方が先決だ)
小向(そうね。何か策があるの……!?)
小葉(いや。ない……。だが、私はどんな相手にでも真っ向から戦ってきた。それは亡き妹が最期まで私に対してそう憧れていたからだ。だからこそ私は、妹に恥じることのない姉を貫き通した。お前はどうだ?)
小向(……私には2人の娘がいるわ。1人は私と同じ退魔師。私と違って素直で真っ直ぐで、しっかり者よ。でも、少し達観しちゃうところがあってね。本当は野球が大好きだったのに、わざわざ夢を諦めちゃった。人間としては100点だけど退魔師としては半人前ね)
小向(もう1人は退魔師じゃない。どうしてか知らないけれど退魔師の力が発動しなかった。こっちも素直で良い子よ。それにフィジカルはお姉ちゃんよりも優れてるわね。今だってプロ野球選手としてがんばってる。ただ、頼れるものがあるとそっちに依存しちゃうの。自立して何かをするのが苦手なのよ。でも……2人ともかけがえのない私の素敵な娘よ)
小葉(あの剣を奪い取り、あのバケモノを封じ込めないとその2人の娘を失うことになる。そう考えると―――)
小向(力が湧いてこないわけないわ―――!!)
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/15 (Sun) 21:52:48
小向「うぉおおおおおおおおおお!!!」
ルパイン「バカめ。闇雲に突っ込んできて、我が剣の間合いに入ってくるとは。我が剣の威力を持って沈めてくれる!」
小向「うわぁああああああああぁ!!!」
ルパイン「愚か者め………」ザシュッ!!
小向「愚か者はどちらかしら?」
ルパイン「なに!?」
小葉「……バカめ。人と神の精気の差も読めぬか」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/15 (Sun) 22:05:31
ルパイン「ふざけやがってぇ!!なぜ神の力が発動しない……!!」
小葉「愚か者が。お前は神などではない。神の力を借りたバケモノでしかない。本物の神を見せてやる……!!」
ルパイン「ぐ、ぐわああああああああぁ!!」
小向「こっちからも!!」
ルパイン「ぎゃあああああああああぁ!!!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/15 (Sun) 22:14:44
ローズ「嘘だろ……? おいおい、悪魔のゆりかごがまるで歯が立ってないじゃねぇか……」
小向「悪魔のゆりかごは、確かにたくさんの人たちの命を奪うことができるほどの呪いではあったわ。でも、呪いを跳ね返すだけの意思と力が私にはあったというだけよ……」
ローズ「エクソシスト………助かったぜ………」
小葉「これでもうあいつになす術はなくなったか?」
小向「いや……まだよ……」
ローズ「くくくくくっ。あははははははははは!!! 悪魔の力、神の力、全てを封じ込めたお前はよくやったよ。エクソシストとして最高の仕事をした。だがな……忘れてないか? ここは『正式に』俺たちが保有してる土地だ。何なら今すぐお前を不法侵入で訴えてやってもいいんだ!」
小向「この期に及んで……!」prrrrrr
キャシー「コナタ! あの土地はやっぱり彼らが保有してるものだったわ。正式には会社が土地を保有してる。しかもその会社、マフィアの息がかかってるみたい」
小向「……なるほど。霊や悪魔は退治できるけど、さすがにマフィアの退治は専門分野外ね……」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/16 (Mon) 22:36:26
ローズ「ようやく手詰まりになったか? そうだ、悪魔や神の力を持たずとも、この世界を牛耳る方法なんていくらでもあるんだよ!」
小向「……分かったわ。買い取りましょう。キャシー、お願いがあるの。この土地の売買の交渉を行ってくれない?」
キャシー『はい!? いやいやさすがにマフィア相手にそんなこと……』
小向「そうねぇ。交渉材料は『ヒトクローンの培養』で行けないかしら? これってこの州では違法じゃないの?」
キャシー『そうね……。うん、この州では違法よ。もちろんマフィアがそれを認めるかどうかでしょうけど……』
小向「マフィアが認めるか認めないかは関係ないでしょ? 貴女自分の職業忘れたの?」
キャシー『まさかこれで記事を書けって言うんじゃないでしょうね?!』
小向「もちろん!大正解よ!拡散力の高いところにいっぱい書き込んじゃって?いくらでも画像も映像も送ってあげるから」
ローズ「っ!?」
小向「もちろん協力してくれるわよね? ローズさん?」
ローズ「誰が協力なぞ……!!」
小葉「今すぐ仲間と同じところへ連れていってやっても構わんぞ。悪魔崇拝者が……」
ローズ「く、くそっ!!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/16 (Mon) 22:37:51
こうして、ローズたちがヒトクローンの培養を進めていた地下の研究所が明らかになり、ヒトクローンの研究を進めていたことが明るみになった結果、ローズは逮捕。この土地を所有していた会社にも説明責任が問われる形となり、会社にも多数の逮捕者が出た。しかしマフィアはトカゲの尻尾切りのように姿をくらまし、いつしかこの土地は売り地となった。
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/16 (Mon) 22:45:02
ベラ「ありがとうございます。小向さん。これで人からの脅威は無くなりました……。我々はまた静かに暮らすことができます」
小向「そうね。それはよかったわ……。でも、また変な風に土地を買い占められて、占領されないようにしたいわね」
ベラ「そんなこと、できるでしょうか?」
小向「そうねぇ……。何かお金になるような方法があればいいんだけれど……」
ベラ「……あのときもそうでした」
小向「へ………?」
ベラ「この土地が炭鉱の街だったときも…どうしてもお金が欲しいときがあったんです。でもどうしようもなくて、困ってたときがありました」
小向「へぇー?炭鉱をしてるのに?街中炭鉱で働く人たちで溢れかえって、仕事には困らなかったでしょうに……」
ベラ「それは、この炭鉱を取り仕切っている会社はアメリカの会社で、働いていた人が日本人だったからです」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/16 (Mon) 22:48:29
小向「もしかしてそれって……今から70年くらい前の話……?」
ベラ「そうです。ある日突然日本人も、会社自体も無くなってしまいましたが……。だからこそ日本人である貴女に強く引かれたのかも……」
小向(WW2中の在米日本人収容所だったのね……ここは……)
ベラ「そういえば。お金を集めるためにここの人たちがやっていたことがありました」
小向「なに?」
ベラ「ベースボールっていう、遊びだったんですが、ぷろちーむ?っていうのを作って、他のチームを読んで戦っていました!」
ベラ「たまに私たちも素性を隠して参加したりして……」
小向「……なるほどね。その案ちょっと使わせてもらうわ!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/16 (Mon) 22:53:30
小向「キャシー!ここに野球場立てない?」
キャシー「はい!?また突然何を言ってるの!?」
小向「だからー、野球場よ、野球場。知ってる?ベースボールってスポーツ」
キャシー「それは知ってるわよ! でも突然なんで!?」
小向「……」
小向「『それを作れば、彼女がやってくる』って誰かに言われたのよ!」
キャシー「意味分かんないわよ……でも、コナタがこういうときに絶対に折れないってことも知ってるわ……。どうすりゃいいの?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/16 (Mon) 23:01:06
小向が計画した案は、小向たちが自前でこの土地を購入し、球場を設立。そしてこの球場に独立リーグのチームを呼び込んでホームグラウンドにしてもらう……そんな作戦だった。しかし……。
小向「人、こないわね」
キャシー「当たり前でしょ!? ここに来るだけでも隣街から半日はかかるのよ!? そんな場所に来てくれるような富豪の独立リーグなんてないわよ!」
小向「……やっぱそーよねぇ……」
??「あの………」
小向「……あれ?貴女は……?」
??「いい球場ですね……ここは……」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/16 (Mon) 23:05:07
小向「貴女、ローズじゃない!?」
ローズ?「ローズ? それが私の名前なんですか? 実は私、何も思い出せなくて……」
小向「……」
小向(……ローズは裁判で有罪判決が出て、今は刑務所にいるはずよ……。それに、見た目も幼い……)
小向「貴女はどうやってここに来たの?」
ローズ?「何も……思い出せない……。でも、野球……は、覚えてる……」
小向(……ローズの生き霊とか、ローズの地縛霊とか、そういうのではなさそう……。もしかして……)
小向「……もしかすると貴女の母親に当たる人は、どこかにいるかも知れないわね」
ローズ?「本当ですか? 会ってみたいなぁ」
小向「……それは止めておいた方がいいわ。酷だけど、貴女は……」
小向(……彼女はきっと、コトリバコで作られたローズのクローンたちの霊なんだわ。蠱毒でどんどん濃くなっていったクローン胚たちの意思が、とうとう霊として具現化できるまでに……)
ローズ?「……?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/16 (Mon) 23:08:02
小向「じゃ、とりあえず名前を思い出しちゃうまでの仮の名前をつけちゃいましょ。貴女は……そうね、ロゼなんてどう?」
ロゼ「ロゼ……ロゼ……。悪くないかも……」
小向「ここでちょっと待ってなさい。そしたら、すぐに仲間がやってくるわ」
ロゼ「本当ですか?」
小向「えぇ。私は嘘はつかない。約束するわ」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/17 (Tue) 15:37:40
キャシー「あんな約束しちゃって大丈夫なの?」
小向「……ロゼはきっと野球がしたいのよ。というか、あの女にそんな過去があったなんてね。思いもしなかったわ」
キャシー「あの女………?」
小向「そういえば!ローズの裁判ってどうなったの?」
キャシー「あぁ。あれね。『コードネーム:ローズ、本名"エリノア・ラッセル"は、研究機材の横領、ペーパーカンパニーによる脱税、ヒトクローン製造に関わる罪などで無期懲役』よ。再審も認められなかったそうだわ」
小向「エリノア・ラッセルさんねぇ。彼女はどんな人物だったかって調べたことある?」
キャシー「あるわよ。彼女はハイスクールでは、有名なベースボール選手だったって。それにアメフトも上手かったから、いくつもの大学で奨学金つきの特待生での勧誘があったって」
小向「へぇ?スポーツエリートじゃない」
キャシー「ところが、高校在学中に不幸にも黒塗りの車にぶつかって、選手生命を絶たれるほど大きな怪我を負ったみたい。その後表の社会で何か活動することはなかったみたいだから、もしかしたらここでマフィア関係と繋がったのかもね」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/17 (Tue) 15:46:10
小向「ロゼはね……きっとローズの生き写しみたいなものなんだと思うわ」
キャシー「さっきの子が!? 本当に!?」
小向「うん……。だからこそ彼女に惹かれて、きっとやってくるわ。あの子と一緒に野球をやりたいって、そんな人たちが。そして、それを見てみたいって思う人たちもね」
キャシー「……」
小向「昔みたいに、球場の横で芝生の上に座りながら野球を見るのよ。ホットドッグでも頬張りながらね」
キャシー「あんなところでいったい誰が野球なんかするのよ」
小向「……ほら。見てみなさいよ」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/17 (Tue) 22:35:21
??「なんていい球場なんだここは……」
??「素晴らしい……きれいな芝生だ……」
??「また野球がやれるなんて夢みたいだ」
??「やぁ、君。君はこの球場のオーナーかい?」
ロゼ「いいえ。違うわ。でも、私も野球をしたいと思ってここに来たの」
??「そうか。じゃあ私たちのチームに入らない?助っ人を募集してるんだ」
ロゼ「本当?ありがとう」
キャシー「し、信じられないわ……だってあの人たち……」
小向「知ってる人たちなの?」
キャシー「だってあれは……戦争の前に初めて日本から遠征にやってきた『トーキョー・ヤンキース』の選手たちよ!?」
小向「へぇ……そうなのね」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/17 (Tue) 22:40:12
??「おぉ!?なんだなんだ?!私たちと試合相手かぁ!?」
??「体つきだけはそれなりって感じだなぁ」
??「大和魂見せてやるからな!覚悟しろよ!」
キャシー「あぁっ!? あっちは!?」
小向「えっ、あっちも知ってるの?」
キャシー「あっちは、戦時中の在米日系人たちで作ったはじめてのセミプロ野球チーム、『マルノーバ旭軍』じゃない! 元々このマルノーバ炭鉱で結成されたチームなのよ」
小向「えぇ……そうなの!? ってことは、ベラが言ってたここで野球をしてた日本人ってもしかしてこの人たちのことじゃ……」
??「おおぃベラ!今日も野球やるぞー! ベラも出るだろ!?」
ベラ「もちろんです! 今日こそホームラン打ってあげますよ!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/17 (Tue) 22:47:54
こうして、あっという間に試合が始まった。
キャシー「すごいわ。こんな何もない野球場で本当に野球ができるなんて……」
小向「そうね……。でも、たぶんこれ、普通の人たちは見られないわ」
キャシー「えっ……」
小向「恐らくね。たぶんこれは、記憶に残すことはできても、記録に残ることは絶対ない。そんな戦いになる気がする……。でも、それでも懐かしい気分に浸りたい人たちは集まるんだと思うわ」
キャシー「本当だ……。本当にそうね……」
ベースボールの試合を写し出すナイターの照明は、1つではなかった。球場をぐるっと囲うようにして照らし出す光。あれは全て車のライトだ。懐かしい匂いにつられてやってきたたくさんの人たちが、芝生に腰を下ろしながら野球観戦を楽しむ。そんな光景になるのに時間はかからなかった。
マルノーバの野球場はこうしてこの街のシンボルとなった。今でも時折野球が行われる。記録に残らない、記憶の中の戦いが今晩も幕を開けるのだった。
【完】
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/18 (Wed) 22:50:34
小向「たっだいま~」
小道「は、母上……!? ご無事でしたか!?」
小向「……何とかね。ありがとう、小道!」
小道「い……いえ……私は何も……」
小向「小弥を私に送ってきてくれたの。本当に助かったわ。貴女が私に助け船を出してくれなかったら……。とにかく、ありがとう!」
小道「……照れますね…」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/18 (Wed) 23:07:45
【後日】
小孝「たっだいまー」
小道「おかえり。今年もお疲れ様だったな」
小孝「まぁね。って、あれ?珍しくお母さんがいるじゃん」
小向「やっほー。おかえり~小孝!」
小孝「どうしたのその……祠……?」
小道「あぁ……。笠原家の氏神を祀るための祠を建てると母上が言うから…」
小孝「へぇ…。うちに氏神とかいたんだ……」
小向「うちは一応鎌倉時代から続く由緒正しき一族だからね~」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/23 (Mon) 22:14:22
キャシー「ヤバいわよコナタ! 世界の真実を見つけたわ!」
小向「はぁ……何よ今度は……」
キャシー「とにかく、日本を含めた世界がヤバいわ!!」
小向「この間豊広観眼命を呼び出して世界一ヤバいことが起きる寸前だったでしょ。今度はそれよりヤバいわけ?」
キャシー「ヤバいわよ!! 実は日本のアニメのキャラクターは全部猫がモデルだったのよ……!!」
小向「はぁ……」
キャシー「世界はそのうち猫に支配されるわ!!」
小向「」←呆れて物も言えない。
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/25 (Wed) 22:35:13
??「………」
郡司「…なんだお前……余のこと見えておるよな?」
??「………」
郡司「見た感じ巫女なのだろうが……。いや…祈祷師か……?」
??「………」
郡司「それともただの変質者か……?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/29 (Sun) 10:20:22
小道「『最近、神社(うち)に変な巫女が寄り付いていて困ってる』?」
小道「私は警察でもアル○ックでもないんだが……」
狛犬「い、いいから来て下さい……!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/30 (Mon) 22:25:54
笠原「本当にいるな……。何者だ? すごく不審者じみてるぞお前……」
巫女「私は国津神、清原真人様の祖神様の御座す社の巫女である。そもそもこの地は清原真人様の御座す土地。その氏神はなぜここにおるのか」
郡司「なぜって…! そもそも私は吉瀬郡司よ!? 清原真人なんて知らないわ!」
巫女「そして貴様…退魔師だな。退魔師にしては随分と不穏な輩が周りについておるようだ。そしてこの場にも現れ……。首を突っ込むつもりか?」
笠原「そもそもこの神社を見出したのは私だ。この話を聞くに値すると思っているが?」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/10/31 (Tue) 22:09:49
高屋場経命が司る大陸では、10月31日に収穫祭を兼ねて、かつては野菜や家畜たちを生贄として捧げていた。
そして死者がこの世界に転生し、現世のものに干渉するとも言われていた。
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/02 (Thu) 22:34:37
巫女「そもそも退魔師がなぜ神々に肩入れをしておる…? 怪異退治で穢れたその手足を、神域に入れるとは全く汚らわしい……」
小道「なぜお前にそこまで蔑まれなければいけないのか理解に苦しむが……。相当浮世離れしているようだから、この際お前も妖怪と同じ扱いに入れてやるよ」
巫女「ふざけたことを抜かしよって……。まぁよい」
小道「……?」
巫女「今回は視察に来ただけ。もしかしたらまた会うかもしれんな…。退魔師よ」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/06 (Mon) 22:12:49
巫女「清原真人様……。やはり土着神が蘇ったようです」
清原「……そうか。なら、滅ぼすしかあるまい?」
巫女「……御意」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/10 (Fri) 22:52:43
巫女「そこを退け!! お前たちに用はない!!」
狛犬「そんな危険な力を纏っている者を通すわけにはいきません!」
狛犬「僕たちがこの社を守ります!!」
巫女「馬鹿め。この力の技量も見極められぬとは……!!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/11 (Sat) 21:53:45
巫女「ふん……。造作もない……」
狛犬「ぐ……くそ……っ…!」
狛犬「こ……小道……さん……助けて……」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/13 (Mon) 13:47:56
郡司「お前……私の狛犬はどうした……?」
巫女「私がここにいるってことはどういうことか……分かってるだろう?」
郡司「…貴様……!!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/14 (Tue) 11:45:53
郡司「ぐぐぐっ……!! これほどまでの力……。さすがに真人を賜るほどの神の力ではある……」
巫女「そうだ。諸氏の族姓を改めて、八色の姓を作った。一つに曰く、真人。二つに曰く、朝臣。三つに曰く、宿禰。四つに曰く、忌寸。五つに曰く、道師。六つに曰く、臣。七つに曰く、連。八つに曰く、稲置―――。真人は『八色の姓』の頂点に君臨する――――。 私の主は祖神としても最高位に君臨するのだ」
郡司「神格が高かろうが、他所の土地に割り込んでくるなど、言語道断ではないか!」
巫女「何を申すか。そもそもこの地の神は清原真人様のものであったはず…。今更お主が出てきて―――」
郡司「……? もしかして……清原真人というのは……」
巫女「やっと思い出したか……。以前貴殿を廃社にまで追い込んだ我が主を――――」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/15 (Wed) 21:45:30
小道「ちょっと待った―――ッ!!」
巫女「やっぱり現れたか。退魔師笠原……!!」
小道「神の戦いに巫女が手を出しているのはおかしいんじゃないのか?」
巫女「……我が主、清原真人様の命令である…。だから何も問題はない…!!」
小道「お前じゃ話にならん。その清原ってやつを呼んで来いって言ってるんだ!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/16 (Thu) 18:33:44
清原「――――我を呼んだか? 人の子よ……」
小道「ッ――――な…なんだ、この圧倒的な力の圧…」
清原「ほう……? 退魔師か。なぜ退魔師が我の巫女に対峙しておる?」
小道(これが清原真人…!? 神の中でも上位の存在、『国津神』というやつか……!?)
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/17 (Fri) 21:42:18
小向「ヤバいわ……!!」
ハクエン「あぁ……大気が震えている……。ここまで強力な神気を纏わせるとは……これは国津神じゃな……」
小向「それって私がこの間邂逅した神様と同じレベルじゃない……!? 危ないわ!」
ハクエン「そうじゃな……。これはまずい…それも、あまりいい神気じゃない……。悪意が現れておる……」
小向「小道……!! 今から救援に行くわ…!!」
ハクエン(娘も母もどうしてこう向こう見ずなんじゃ……)
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/18 (Sat) 22:25:19
小向「これは相当厄介な問題になるわ……。これは『彼女』にも同行してもらうしかないわ……」
ハクエン「そういや祠で氏神を奉るようにしたんだったな」
小向「……出てきてくれないかしら……」
ハクエン「やはりもっときちんとした場所で奉らないといけないのかもしれんな」
小向「仕方ないわ…。こうなったら私の身1つで行くしかないわね……!!」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/21 (Tue) 21:30:04
清原「人の子よ――――我の力の前に無に帰すがいい……!!」
小向「やめなさい……!!」
清原「なんだ……似たような者が現れよったな……」
小向「そっちは私の娘よ。娘に何か危害を加えればたとえ神だろうと容赦はしないわ……!!」
清原「退魔師風情が偉そうに……だが、其方も何か厄介なものを連れておるな……」
Re: 退魔師笠原さん!③ - ポーラ(旧PPD)
2023/11/22 (Wed) 22:11:04
ロゼ「コナタ……アレ、とても怖い……」
小向「そうね……。たぶん貴女にとっては1番怖い敵ね…神様だもの」
ロゼ「コ、コナタ……神様と戦うつもりなの……?」
小向「いいえ…。戦うつもりはないわ。でもね……私の娘に手を出したら容赦はしないつもりよ」
小向(小葉が出てきてくれないんじゃ、こっちも手数が足りないわ……。さすがにあのレベルの神を相手にするのに退魔師二人とその他霊数人じゃ分が悪すぎる……)